140字とか小ネタとか
□バレンタイン
1ページ/1ページ
(並び:こみなみりでる様→朔夜→カフェテリア様→朔夜→カフェテリア様→朔夜→朔夜→朔夜)
『バレンタイン』
友チョコだから。神楽が友達に作るっつーの手伝っただけだから!勘違いすんなよ。しかも残り物だからな。何べんも言うけど、これ友チョコだから!
と不貞腐れたように目を伏せ、視線を合わさず頬を染めてチョコを差し出して来る男の手を取り、取り合えず本体のラッピングを剥がして先に食うことにした。
* * *
顔から火ィ出るよーな思いしながら人がせっかく作ったチョコに見向きもしねーで服を脱がしにかかる男についカッとなった。
「おまっ…中見るぐらいしろよ!人がせっかくテメーなんかのために…ハッ!」
慌てて唇を噛んだがもう遅い。目の前の男は勝ち誇ったように笑って噛み締めた唇をそっと舌でなぞった。
* * *
「俺のために作ってくれたんだろ、じゃあ早速味見しねえと」
土方は唇に這わせた舌を中に入れてきた。
「だから…チョコ…」
ちゅっと一旦唇が離れ。
「作ったとき食ったろ、甘いぜ」
ああ、確かに食ったよ。今度は口ん中が痺れるほどお前を食わせろよ。
* * *
もっともっと、と。自分から舌を絡めていった時玄関方面が急に騒がしくなった。
「ちょっ…やばい、かもっ!離せ離れろッ!」
不満を露にする土方を引き剥がし、わたわたと定位置に戻ったところで神楽が数人の女の子を連れて入ってきた。
「銀ちゃんのチョコ美味しかったから作り方教えて欲しいそうアル!」
* * *
女が3人寄ればかしましいと言うが今のこの状態はそれ以上。
まあ箸が転がっても可笑しい年頃。近頃のバレンタインは本命、義理より友チョコや自分のために作るのが主流らしいが。
チャイナたちにチョコの指南をしながら笑ってる銀時の横顔を見ながらタバコに火をつけ、これじゃ家族みてぇじゃねぇか…と。
* * *
ふいに見つめられてドキッとしたが、すぐにこれはそんな甘いモンじゃないと気付いた。
はいはいガキどもの前で煙草吸うなってか。
口が寂しくなって渡されてすぐテーブルに置いたままだったチョコの包装を解いてひと粒口に入れてみる。甘ぇもんなんざ好きじゃねぇがあいつが作ったと思えば悪くなかった。
* * *
出来上がったチョコを手にきゃあきゃあ言いながらガキどもが出て行き、やれやれやっと一服できる、とさっそく一本咥えたら横から伸びた白い手がカチッとライターを点した。
しかし煙草の先を近づけると避けるようにすっと遠ざけられてしまう。
「…なんだよ」
「土方くん、チョコ、食ったね?」
* * *
ちろりと視線を寄越され、何も悪いことはしていないはずなのに何となくドギマギする。
「べ、別に…食ったっていいだろ俺が貰ったんだから」
「いいよォもちろん。でも、さ。なら…」
コッチが先、と重ねられる唇。その合間に囁かれた言葉に完全にノックアウトされた。
――たまには甘いキス、させろよ――
――――――――<終>
【補足】
「バレンタイン140字ィ〜!」と、りでる様がつぶやいたものに勝手に続きをつけたらカフェテリア様がそのまた続きを書いてくださり、それが続いていつの間にやらSSの出来上がり〜と相成りました。リレー作文、面白かった。お二方、ありがとうございました!
※1 りでる様・カフェテリア様の了承を得て掲載しております。
※2 改行は後から加えたものです。
.