140字とか小ネタとか

□思い残すことありて
1ページ/2ページ


『思い残すことありて』


 深い溜息と共に突然「久し振りに覗きに来たらばまたこのような…。私の育て方が悪かったんでしょうかねぇ…」という沈んだ男の声が聞こえて来たので夢と現の半挟目(はんはざめ)な意識の中、薄らと瞼を持ち上げると枕元に上品な長髪の壮年が正座していた。ので、声無く飛び起き俺は後ろ手で体重を支えつつ腰を抜かした状態で後ずさった。全裸股間丸出しでだ。

 息を呑む俺、そして対峙する壮年。

 しかし透けている。

 どう見ても男の背後に見慣れた万事屋の安普請な壁が透け見えている。そして気配が無い。

 これはアレだ。アレだよ。

 さっきまで俺の下でアンアンと可愛らしく鳴いていたとは思えないそこでグースーピーと色気の無い寝息立ててる一糸纏わぬ万事屋の『スタンド』に違いない。

 野郎最近波紋が使えるように練習中だとかぬかしてたからな。きっとスタンド使いになったんだよ中の人の声も一緒だし。

 うんうん、と自らを無理矢理納得させるのに必死な中、俺を不思議そうに見詰めていたその壮年が「おや…」と声を発した。

「あなた…、晋助じゃない?」

「……」

「え!?ちょっ、12の時、銀時を嫁に下さいって私に土下座して頼んだ晋助じゃない?草原で花冠作って銀時に被せたり、13の時、井戸端でチューして15の夏の半月の夜に私の目を盗んでこっそり銀時を連れ出しチョメチョメした晋助じゃない?マジで晋助じゃない!?」



 ……泣いていい?








 * * *


タイトル&上記の文章はこみなみりでる様によるものです(※りでる様の了承を得て掲載しております)。

次ページが朔夜が書かせていただいた続き部分になります。



.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ