140字とか小ネタとか
□ここでキスして
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銀時のところへ戻ると、不安そうな目で何話してたの、と訊いてきた。どうやら話の内容は聞こえていなかったらしい。
「あぁ……お前が飲んだコーラな、気付かれねぇようあいつが酒混ぜやがったらしい。二度としねぇように釘刺しておいたが…気をつけろよ?」
「お酒……」
困惑したようにぱちぱちと目を瞬かせる。たとえ少量でもなにぶん免疫のない身体だ、かなり回っているらしく目の縁や頬が赤らんでいる。
「このまま帰ったんじゃ親父さんに気付かれるな……」
どーしたもんかと思案していると、突然銀時がぽろぽろと涙を零し始めた。
「おい、どーした?あー…大丈夫だって。そーだ!いったん俺んち寄って風呂入ってけ。飲んだっつってもたいした量じゃねェし、それでなんとか誤魔化せんだろ」
叱られると思って怖くなったのかと慌てて捲くし立てたが、銀時は首を振る。
「ひっく…土方ぁっ…俺……高杉にっ……キス、されちゃったぁぁぁっ…!」
えぐえぐとしゃくりあげて……かと思うと胸の辺りに頭突きをかましてきた。
「ハジメテは土方と…って!ずっと思ってたのにぃっ!」
頭をぐりぐりと押し付けて…さらに両手で上着を握り締めて揺さぶる。
「土方が悪いんだッ!俺のコト子ども扱いしてっ…何もしてくんねぇからっ…!土方のせいだ、ぜぇんぶ土方が悪いんだーーーっ!」
ファーストキス、ね…。
それが俺とじゃなかったから、と。それだけのことでまるでこの世の終わりみたいに泣き喚く銀時が可愛くてしょーがない。
だから……黙っとくつもりだったけど、とっておきの秘密を教えてやろうと思う。
「お前のファーストキスは13歳の夏。相手は……俺、なんだが?」
それを聞いた途端、銀時はピタッと動きを止め…のろのろと顔を上げた。
「え………?」
「中学に入って最初の夏休み、宿題難しすぎて全然終わんねーって俺に泣きついてきたことがあったろ?それで俺んちで宿題合宿やるとか言い張って…無理矢理泊り込んだことがあったじゃねーか。そん時に、な…」
「えぇぇえっ…?俺そんなの覚えてな……っ」
「そりゃ…お前は寝てたからなァ。悪ィとは思ったんだがあんまり可愛かったんでつい、な…」
「そっ…そんならそうとっ……ちゃんと次の日にでも言っとけよぉっ!土方のばかぁっ!俺こんな…泣いてさぁっ…損したじゃんかぁぁっ!」
パシパシと俺の肩や胸を叩いて。怒った口調でそう言いながら…でも顔は笑ってる。
可愛い。
「安心したか?」
ふわふわと髪を撫でながら言うと。
「うん…………でも…」
「でも…?」
「そっ…それはそれでちゃんとカウントするっ…けど、さ…」
「……けど?」
「そ…れ……俺は覚えてナイわけだからっ!そのっ…つまり……」
「つまり?」
促すと夜目にもわかるほどすぅっと首筋まで赤くなった。
そして消え入るようなか細い声で…
―――キスしてよ―――
と囁いた…。
『ここでキスして』
―――――完―――――
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ここでやめるかどうか、ものっそぉ悩んだんですが…!とりあえずこれでwww
でもまだ書きたいシーンがあることはあるので、いずれまた書くかもしれません、ハイ(^o^;)ゝ
カフェテリア様、元ネタ提供ありがとうございましたーーっ(o^O^o)
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