小説おきば。
□離れていても
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昔の約束…もう、忘れたと思っていた。
「お前は本当に泣かないあるな」
まだ私が小さかった頃言われた言葉。
外で遊んでいて私は転んで怪我をした。
「あまり感情は表に出さないように心掛けていますから…」
「でも泣かないと気づいてもらえねぇある」
にーにが見つけなかったらずっとここにいたあるか?と言われて、何も言えず下を向いた。
「ほら、帰るあるよ。おんぶしてやるからのるよろし」
秋の夕暮れ…
真っ赤な空、のびる影…
私は耀さんの背中にくっついてうとうとしていた。
「菊、菊…」
「…なんですか?」
「お前は大事な弟ある」
「はい」
「じゃあ、お前にとって我は何あるか?」
あまり理解は出来なかった。
眠かったせいもきっとある…
「……にーにはにーにです。私の…にーに…」
「じゃあもっと我にたよるある」
「え…?」
「泣きたくなったり、辛くなったり、虐められたりしたらいつでもよぶある。そしたらいつだって、どんなときだって助けにいくある」
耀さんは笑ってそういった。
あぁ、私の居場所はここなんだ…
私はここにいていいんだ…
今、私達は戻れないくらい離れてしまった。
今が…とても辛い…悲しい……
貴方は今どこで
何をしていますか?
この空の続く場所にいますか?
今でも、貴方は来てくれますか?
また昔みたいに笑顔にしてください。
「助けて…にーに……」
end