小説おきば。
□もう離さない
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※中日
「…………………ごめんなさい」
一言を残して
涙を流して
弟は真っ赤になっている我をおいていった。
あの痛みは忘れない。
あの顔も忘れない。
月日は流れ、敵となり
我は弟を傷つけた。
我は同じような仕打ちを弟にしてしまった。
あぁ…あの時弟はこんなことを思っていたのだろうか…
戦いは終りをむかえ
傷つくことはなくなった。
埋められないと思っていたものも
少しずつ埋まってきた。
「菊!ちょっと来るある」
「?なんですか?」
近づいてきた弟を抱きしめる。
弟は困惑していたようだがそんなのきにしない。
「もう…けして離さないある……」
やっとまた掴んだ幸福
けっして離したりしない。
「それは私の台詞です」
弟はそういって笑った
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