小説おきば。
□皆が忘れたあの人を…
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突然のことだった。道を歩いていた俺達に氷でスリップした車が突っ込んできた…
俺はひかれなかった。
マシューが俺を突き飛ばしたんだ。
頭がぼんやりして、俺は真っ白い雪の上に座り込んでいた…。
辺りは焼け焦げた様な臭いが立ち込めていて、目の前の雪には紅い跡が残っていた。
「……マ、シュ…」
紅い印の先には、真っ赤になった大切な兄弟が横たわっていた。
ここで、俺の記憶は終わり。
次に目を覚ましたのは病院のベッドの上で…隣でアーサーが泣いていた。
「……アーサー…?」
「っ!!アル?!アルフレッド!!!目ぇ覚めたのか!!」
白い部屋。ベッドの横には赤い薔薇…どうやらフランシスが持ってきたらしい…。
まだはっきりとしない意識の中、ふと浮かんだのは双子の兄弟の姿…
「…シュー…」
「え…」
「…アーサー…マシューはどうなったんだい…?」
アーサーは苦虫を噛み潰した様な顔をしていて、その眼には涙がたまっていた。
「まさか…し…」
「違う…ちゃんと生きてる。…けど」
アーサーは俺の言葉をさえぎった。
彼の翠色の瞳は大粒の涙でいっぱいになっている…
しばらくしてからアーサーはついて来れるかの言った。少しふらつくが大丈夫そうなので彼の後をついて行った。
案内されたのは俺のいた病室よりももっと奥にある部屋。薄暗い部屋の中にはたくさんの機械と真っ白なベッドがおいてあった。
「…マシュー…?」
「あぁ…。命は助かった…」
「じゃあ今は寝ているのかい?」
言いにくそうなアーサー。理由なんてわからない。
「アル、落ち着いて聞けよ。マシューな…もう、目ぇ覚まさないんだ」
「え…?なんで?マシュー死んでないんだろう…?」
そのあとに言われたことは全部嘘だと思った。思いたかった…。
体の方は骨が折れてもいなかったし、命に別状はなかった。でも頭を強くうってしまったらしい。よくわかっていない俺にアーサーは言った。
「植物状態…そういえばわかるか?マシューは生きてるけど、もう話したりしないし笑ったりしない…ずっと、寝ているんだ」
「どうして!!なんで…なんでマシューだけ!!!」
アーサーは何も言わなくなった…それ以上、なにも…
([6]w[6])<製作中だぞ☆