灰色の紋章
□第一章 冒険の始まり
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15年前…
「ウギャー、ウギャー!」
クレスト村に一つの命が誕生した。
しかし普通の人間とは少し違っていた。
胸辺りには何のマークかも分からない入れ墨のようなものが薄くぎりぎり目に見えるように浮き出ていた。
「な、何でしょうかこれは…ただの痣には見えませんが…」
「ふむ、確かに30年間医者をやってきたがこのような痣は見たことないのう」
二人の医者の会話に赤ん坊の母…アマリアは不安な表情でたずねる。
「ハァハァ…我が子は…無事ですか?」
「出産は見事成功いたしました。しかし…見たこともない痣のようなものがですね…」
「そうですか…無事なんですね…良かった…」
アマリアは医者の言葉を遮るように目を閉じる…
「ピー!ピー!!」
「ア、アマリアさん!?しっかりしてください!アマリアさん!」
その後数分アマリアの治療を試みたが目を開けることはなく、微笑むように息を引き取った。
結局アマリアの死因は一切不明…
横たわるアマリアの病室に胸に紋章を浮かべた赤ん坊の鳴き声だけが響いていた…
そして月日は流れ12年後…
「バキュンッ!バキュンッ!!」
「死にたくねぇやつは大人しくしてろぉ!ははぁっ!」
「「キャー!」」
クレスト村に銀行強盗が現れた。
村の警備隊が駆けつけるが相手は銃を手に人質をとった集団…
何とか説得を試みるがイカレた犯罪者の前には言葉など無意味のようだ。
「とっと金をよこせってんだ!殺すぞっ!!」
「は、はい!今すぐに出しま…
「出す必要なんかないよ。ほっ!」
いきなり窓ガラスが割れそこから人影が現れる。