灰色の紋章

□第五章 いざ中央大陸へ!
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闘技場を後にするカイツ。
そしてその横には治療を受け回復したイリアがいた。


「カイツ!」

「ん?」

「目的は一緒なんだ。俺も付いてくぜ」

「ガラッド…お願いします!いいよねイリア?」

カイツはにこっと笑いその視線をイリアに移した。

「確かに今のあたしたちじゃこれからどこに向かうかも分からないしね…その代わり頼りにしてるわよ!」

「任せろ」

こうして三人はガルエラを後にした。






とある山奥

「今回もあっさり方付いたな。張り合いがなくてつまらん」

黒い正装をした男が言った。

「ちんけな田舎だ。仕方ねぇだろ…!」

それに続いて言ったのは体中傷だらけであり、百戦錬磨を誇る身長約2mほどもある男。

「だからガルエラ付近の村にしようって言ったんだ!こんなちんけな村に金があると思うかい?」

言葉遣いは悪いが女性であり背中には大きな銃のようなものを背負っている。

「でもこんな村にも鉱山から採った金がいくつかあるみたいだよ。探してみる価値はあるんじゃないかな?」

幼い口調で言ったのはまだ見るからに十代の少年だった。

そしてこの四人を束ねるのが…


「「その金とやらを探そう。酒の肴程度にはなるだろう」」

黒いマントを羽織ったオールバックの男。
額に浮かばせた剣のようなタトゥーが不気味さを漂わせている。

何も武装はしていないが恐らく異形なる能力を発揮するだろう。

「さて…行くか?族長!」
正装をした男が悪巧みをしたような顔で言った。

「目指すはウールガリ大陸の首都ベガスか…そこで年に一度行われる大規模オークションに参加しよう」

「条件は…?」









"まるごとかっさらえ…!!"


「「了解っ…!!」」








カイツ達はガルエラの港に出てウールガリ大陸への船を探していた。
この広い港では船があちこちに存在し迷うほどであった。

「中央大陸…すなわちウールガリ大陸への船はこいつだな」

ガラッドは船の前に立つとすぐさま切符を買いに行った。

「それにしてもすごいよな…」

「ん?何が?」

カイツは小さい頃を思い返していた。

「いや…小さい頃は村の外にすらまともに出たことないだろ?なのに今は海を渡って違う大陸に移ろうとしてるんだからさ」

「確かに村にいたときは自分のいた大陸名すら知らなかったしね…変な気分になるのは分かるわ」
イリアも田舎村出身のため外界のことなど全くの無知だった。

「とにかくウールガリ大陸の冒険者協会でいろんな依頼を請けましょ。その中に魔族に関する情報があるかもしれないし」

「そうだね…」

三人は乗船し大会の疲れを癒しながら長い船旅を送る。





ベガス城

ガルエラ城と同様警備兵が城を囲んでおりまさに鉄壁を誇っていた。

ここはベガス城を出入りする大橋。
なぜかこの巨大な橋にはぞろぞろと一般市民が集まってきていた。

「こらっ!押すんじゃない!」

「きゃー!アリフレイム様ぁー!!かっこいぃわー!」

「おっ!メリアドル様だ!相変わらず凛々しい!」

「向こうにいらっしゃるのはアギグラス様だ!あのお方は男の中の男だぜっ!」

「超剣士ユレイドル様もいらっしゃるぞ!まさか総隊長が四人も演説に来られるとは!」

一般市民にとって都市を守り続けてくれている英雄的存在…
ベガス軍の各総隊長の演説が始まろうとしていた。

滅多に人前に顔を出さない軍の英雄達による演説がまもなく始まる中市民は聞き入るように耳を澄ました。







"平和を愛する市民よ…我が古き剣にこの世の永遠なる平和を誓おう"


巨剣より一回り小さな大剣の使い手、炎剣帝アリフレイム。その身を削ってまで世の為に尽くす前向きな姿勢により市民の信頼は甚大なものでありそれ故ウァレンシアの英雄とまで呼ばれている。






"一握りの勇気とは時に世界を揺り動かすこともあるのです。私たち人類皆で豊かな世界を築きましょう"


鞭水麗メリアドル。その美貌と華麗なる鞭の舞は全ての生き物を魅力する。






"全てをねじ伏せる力…オレが求めるのはそんなイカれた兵器じゃない…全てを退ける力だ…!"


鋼の肉体を持つ、鉄巨人アギグラス。
砲弾をも我が身のみで跳ね返す程の鉄壁を誇り、鋼の肉体を駆使した天才的な武術の持ち主。






"夢…一人一つしか持つことの出来ねぇ人生の終着点だ!どうせ目指すなら世界をひっくり返すくらいどでかい事してみろ…!!"


世界一の刀使いと称される超剣士ユレイドル。
その剣裁きは滑らかで数千もの剣技を内に秘めているという。
性格は楽観的だが戦いの場に出たユレイドルの気迫は本物。




ベガス軍総隊長全六名中四名もの英雄が演説を行った出来事は都市ベガスの歴史に深く刻まれた。
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