灰色の紋章

□第七章 成長した志
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ウールガリ大陸の二大国の関係を知ったカイツとイリアは、王への謁見をキャンセルし宿屋へと向かった。

翌日とりあえず冒険者協会へと向かった。


魔族に関する依頼を探してる中、受付人に声をかけられた。

「あなたたち…イリアちゃんとカイツ君よね?」

「そ、そうですけど」

「やっぱりー!ずっとあなたたち二人を待ってたのよ!あっ…ごめんね。私はラーグさんのちょっとした知り合いよ」

二人はラーグと聞いて興味津々に話を聞き始めた。

「行方不明になったらしいわね…まああの人なら無事だと思うんだけどやっぱり寂しいわ」

「あの…もしかしてラーグとは深い関係が…?」

カイツは恐る恐る尋ねた。

「ご、誤解はよしてよ!ただあなたたちの世代じゃあの人の偉大な功績は知らないだろうなーって…そんな彼がいなくなってミルマーナ王国もここベガスも最近何かと荒んでいるのよ…」

二人はラーグの偉大さを改めて感じた。

「僕たちラーグを探してるんです。きっとまだどこかで生きてるはずだから…」

カイツは折れた短剣を手に取り言った。

「そうね…」

受付人は「あっ!」と何かを思いだし椅子を立った。

「最近ベガス周辺地域で起こる殺傷事件…聞いたことないかしら?」

「分かりませんけど…ほっとけば大事は免れないですね」

「ええ…どうやら情報によると三人組で何かを必死に探しては人を傷つけてるって噂よ」

「それは見過ごせないよ。僕たちが請け負います」

カイツは掲示板に張られていない臨時依頼を請け負った。


「これも一般人からの情報なんだけどやつらはオルゴア大森林をよく出入りするらしいわ。実はその三人組には心当たりがあるの…」

受付人は少し寂しそうな目をして言う。

「元二ツ星冒険者…[戦略の怒拳]アントリー…!!」

「二ツ星…この世界に忠実に貢献した者のみ与えられる特別な称号のことだね。でも何でそんなすごい人が道を誤ってしまったんだろう…」

カイツの拳は強く握りしめられていく。
そしてそれは強い決心の表れだった。

「イリア…行こう!」

「ええ…まずはオルゴア大森林ね」

こうして二人はベガスを発ち、北に位置するオルゴア大森林に向かった。




思ったよりも開けていて、濃い緑が繁った大森林。
カイツとイリアは気を引き閉め森に足を踏み入れた。

細い道を休まず進んでいく。
途中清らかな鳥の囁きが、犯罪者を追って気負いしてるであろう二人の心を癒した。


1時間ほど歩き、辺りを見渡すが見渡す限りの緑。
ここに来て微かな手がかりを見つけた。
人間の足跡。
たったこれだけの情報がカイツたちの戦いを大きく変化させる。

「向こうだな」

カイツは足跡の方向を指差し歩き進む。

「ん?」

カイツは木の陰に人影を確認する。
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