灰色の紋章
□第九章 新たな勢力
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「さあ…次は何族が相手してくれるんだ?」
上半身がもげた魔族の遺体が横たわる中、他の魔族に少しばかりの動揺が走った。
「脳みそ空っぽなゴル族殺していい気になってやがるな。言っとくが俺たちベヘモズ族はそいつの10倍強いッ」
ベヘモズ族…とにかく巨体で形は個々それぞれ。
しかし共通することはある程度の知能とパワーを持った巨獣。
静かな森の中を一筋の風が横切った。
その生暖かい風が通りすぎた矢先、どすっ!という何かが倒れる音がした。
「なんだこのカスは…」
何の苦もなく、ガイスターはベヘモズ族の一匹をねじ伏せた。
その呆気なさに魔族はざわつくがそれはやがて怒りに変換し、マライヤ平野の森林は荒れた。
「仕方ありませんね。では私自らやるしかありませんね」
そう言ってダンゴ虫のような魔族は、背中の甲羅のようなものを駆使し体を丸めダンゴ状になった。
それはやがて凄まじいスピードで回転していく。
「ズバッッ!!!」
「スゴォッッ!!」
弾丸のように発射され冒険者たちの集団に突っ込む。
そのあまりのスピードに数人反応できず固い甲羅に弾き飛ばされた。
「ちっ…ちとやっかいだな」
「あのスピードで来られたら避ける以外方法はない。やつを止めるなら回転する前しかないな」
「そうかな?」
数人の冒険者の言葉にカイツは口を挟んだ。
「ならどうしろって言うんだ!?他に止められる方法なんてあるのか!?」
「ある…!」
そう言うとカイツは一歩前に出た。
「ンッ?どうやら私もなめられたものですね。お望み通り内臓ぶちまけてやりますよ」
ダンゴ虫の魔族は再び丸まり、ずば抜けた加速力で回転しカイツに迫る。
カイツは両腕を横に広げた。
「ばかっ!避けろっ!!」
「ズゴッッッ!!」
鈍い音がしたが、カイツはそれをしっかりと腕で押さえつけ止めて見せた。
しかしなお回転は衰えず少しずつカイツを押していく。
「同じ仲間が死んでも何も思わないやつなんかに…」
「「生きてる資格なんてないっっ!!!」」
「グゴア゙ァーー!!?」
「ブシュウッッッ!!」
カイツは闘気が凝縮された腕でダンゴ虫の魔族を腕力で絞め潰した。
血が、内臓が弾け飛び、ダンゴ虫の魔族の手足がぴくぴく動いていた。