灰色の紋章
□第十章 カルガリアの悪魔
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ベガス城中央芝庭。
ここはいつも閑静な場所だったが、そこに三つほどの人影が見えた。
その一つは英雄クレイトス。
クレイトスに向き合い何やら気を集中している二人。
カイツと親を失った少年、ガイア。
この風景は数週間続いていたようだ。
「クレイトスさん。長い間ありがとうございました」
「いえいえ。闘気の扱い方はどうかな?」
「ばっちりです…!」
カイツとガイアは声を揃えて言った。
「じゃあ…俺たちはとりあえずイリアと合流するよ。ガルエラで急に飛び出しちゃったから心配してるだろうし」
「そうか…自信を持ちなさい」
「えっ?」
「私が教えたことを全て引き出せたとき…」
「「君に敵う者はいなくなる…!!」」
「…」
カイツは自分の両手を見つめる。
"ラーグ…やっとスタート地点に立てた気がする…必ず助けに行くから…!"
こうして目的は違えど新たな仲間、ガイアが加わった。
その数分後、二人の耳に衝撃的な情報が飛び込んできた。
それはウェストリア大陸のミルマーナ王国がたった一人の男に壊滅させられたとのことだった。
ラーグが殉職したとしている弱体していたミルマーナ軍はあっけなく蹴散らされてしまったのだ。
これにはカイツも動揺を隠せずクレイトスに相談した。
その結果三人でミルマーナ王国を訪れ真相を聞き、その帰路でマライヤ平野で前回の任務で同行したガイスターら冒険者と合流し、魔族の調査を再開するとのことである。
三人は西のエンプレム領の港に向かい、ウェストリア大陸の港町ネイピアラ行きの船を探した。
そこから4時間の船旅を満喫し、カイツは初めての地、ウェストリア大陸に上陸した。
「す、すごい大自然だ。木や葉の質がウールガリ大陸のとは全然違う」
「ウェストリア大陸は自然豊かな自由国家、ミルマーナ王国により統治されてるんだ。ここに住むものは争いを好まず自然と共に生きるのをモットーとしている」
ミルマーナの民は規則に縛られない。
一人一人が穏やかな思考を持っているため、法律は皆無の元暮らしているのだ。
「ミルマーナ王国にはここからどのくらいなんだ?」
ガイアもまたこの地は初めてであった。
「そうだね…移動手段は徒歩しかないから急いで6時間…いや…今の君たちなら5時間もかからないかな」
三人は港町ネイピアラで食料を調達し足早に町を出た。
「さて…行こうか」
そう言うとクレイトスは足に闘気を集中させた。
それを見てハッ!と思い出したカイツとガイアも同じように足に闘気を集中させた。
「ズバッッ!!」
凄まじい瞬発力で三人はウェストリア大陸の首都、ミルマーナを目指す。