灰色の紋章
□第十五章 急成長する若き力
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しかしウォルガンは腕を組み仁王立ち。
「自惚れはてめーらだ。ハンデとしてこっから動かないでやるから来いよ」
蒙心はウォルガンの拳を避け、肩の肉を爪で抉り切り裂く。
「ほう、俺の体を抉るとはな。やるじゃね……」
ウォルガンは蒙心を見るが背後から嫌な寒気を感じた。
「よそ見はいけないね」
陰癌は小さな黒い機械をウォルガンの背中に押し当てると、電流により体の自由を奪われる。
「くっ!何しやがった…」
陰癌の攻撃に気づき背後を見るが、そこには梟石が黒い手袋をして構えていた。
「くそが!」
ウォルガンは体が思うように動かず、構えていた梟石を見据える。
「砕壁…!!」
「ドゴッッッ…!!!」
梟石の拳は静かに、且つ力強くウォルガンの鋼鉄の肉体を強打する。
「かはっ…俺が生身のパンチで効くはずが……」
「ただの打撃ではない。俺が取得した技は体の内部までをも破壊する内臓へもダメージを与える」
怯むウォルガンだったが、更に真横から泰の無数の連打をくらい後退する。
「がっ…くそった…んあ!?」
ウォルガンは体勢を立て直そうとするが、膝からガクッと落ちる。
「やっと効いてきたか!筋肉馬鹿には効き目来るのが長かったな!」
「ちっ…毒か…どうりで体の痺れがなおらねぇわけだ」
蒙心の爪には毒が染み込んでいる。
その数滴でも成人を一瞬で動けなくする猛毒によりウォルガンは苦しみの表情。
「かははっ…いてぇ…いてぇぜクソ野郎共が!!ただの非力なゴミの集まりかと思ったが…ここまでやるたぁな!」
「なにいい気になってるの?君これから死ぬん…」
「ブチッッ!!」
子ども口調の陰癌は、ウォルガンの指から弾かれた小石により脳天を貫通する。
血を撒き散らし倒れる陰癌を見た三人は、焦りの表情を浮かべるが、
「こいつがあの最凶の盗賊団だってこと忘れてたぜ…!気抜かねぇ方がいいな!」
蒙心はそう呟きウォルガンを見るが、
「何よそ見してんだ?」
「ドゴォッッ!!」
ウォルガンの拳は蒙心の顔面を強打し、頭蓋骨は軽々と粉砕される。
「ぐあぁー!」
蒙心は死に際に爪でウォルガンの右腿を抉る。
「また毒か!うざってぇ!」
ウォルガンは更に梟石を視界に捉え、
「ズバッッ!!」
凄まじい瞬発力で迫る。
「俺の拳は防御不能だ」
梟石とウォルガンの拳が衝突する。
「ぐぎゃああ!!うぎゃー!」
奇声を発したのは冷静だった梟石。
「弱いな。やっぱりこの程度かよ」
隙をつき、泰は背後から近より無数の拳をつき出した。
「ズゴゴゴゴッ!!」
鈍い音がするが、ウォルガンは一歩も動かず微動だにしない。
「シャッッ…!!」
ウォルガンは軽く泰の両腕を掠めたかと思うと、両腕はグニャリと嫌な方向に曲がる。
「ぐあっ!馬鹿力め…!」
泰は後退するが後ろの何かにぶつかった。
「おせーよ。ゴミめ」
「グシャッッ!!」
血吹雪が舞い、泰の首はウォルガンの怪力により軽々と折られ倒れる。
「ふう…さすがにこの毒はきついな。まあ数時間休めば治るか」
ミルマーナ王国最強の強さを誇る暴龍の四人は一人の滅盗団の団員に惨殺。
ただ強く、より強く…!
誰にも止めることのできない勢いで、滅盗団の侵略は続く。