灰色の紋章

□第七章 成長した志
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「あ…んた…、そこ…までの…力を持ちながら…、なぜ隠す…!?」

「今の時代はな…俺みたいな時代の残党がいていい場所じゃねぇのさ…!」


そういうとワイトはスワトロを放置し、その場をあとにした。





一方イリアとラウザは向かい合い、緊迫感のある熱気とイリアの炎の熱気に包まれていた。

「さっきは面白いことしてくれたもんだな。闘気を炎に変えるたぁいい素質持ってるじゃねぇか」

ラウザはニヤニヤ笑いながら、一歩前に出た。

「気を付けた方がいいわよ。あなたの回りにはさっきみたいな地雷が埋め込んであると思いなさいっ」

先に仕掛けたのはイリアだった。

細かく的確な蹴りをラウザは防ぎきれなかった。



「蹴りってもんは…こうやるんだぜ!?」

「ブンッッッ!!!」

ラウザの蹴りを両腕でガードしたイリアの腕は赤く腫れ、鼻からは血がじわじわと出ていた。

「痛っ…!」

完全に素人の蹴りではなかった。

「これが格闘家直伝の超重量の重みを持った蹴りさ。痛ぇだろ!?」

「こんなもの…カイツの失った痛みに比べたら…痛くも痒くもないわよ!!」

イリアは体から炎が噴出した。

「人としての道から外れた行為をして何が楽しいの?そんな夢もプライドも捨てた空っぽの男なんて…この身を削ってでも罪の重さを思い知らせてやるわよ…!!」


人道を説く気はない…
しかし人を殺すのを職業とした無法者をイリアは許せなかった。

幼き頃無意味に命を奪われた両親を頭の片隅に置き・・・



熱い…

身がもげそうなくらい熱い…

しかしイリアは全ての力を込め、目の前の敵を倒そうとしていた。

「炎天降!」

ラウザの上空から小さな炎の塊が無数に降り注ぐ。 その炎を全てはかわしきれず、ラウザは降りしきる炎を手で払い除けようとした。

「ボワァッッ!!」

「ちっ!」

炎の塊は勢いよく弾け、ラウザの腕を焦がす。

「あたしの炎は衝撃を与えると勢いを増すのよ。その証拠に…」

イリアは地面を指差す。
地面は降りしきる炎により炎上していた。

「地面にまで燃え移るとは大した火だな。だが…ずいぶんと辛そうだな?」

「はぁはぁ…」

イリアはどんどん体力を消耗していた。
言葉を交わすだけ無駄、と考えたイリアはラウザに殴りかかった。

イリアの拳を軽快にかわし続けるラウザ。

「動きはいいが基本が全くなっちゃいねぇな」

「バシッッ!」

イリアは頬に衝撃を感じ怯み、そこに更にラウザは顎を蹴りあげた。
イリアは燃えながら中に浮くが、体勢を整えラウザに上空から突っ込んできた。
その姿はまさに燃える不死鳥。
その身の毛の弥立つ姿を見たラウザは瞬時に回避した。

しかし地面に激突した炎は大炎上しラウザを、木々を軽々と飲み込む。






「ズオォーーンッ!!」

「…!?」

カイツは大きな爆発音を察知し辺りを見渡す。

「気にするな。やつらが暴れてるんだろう」

アントリーは緑色の闘気に包まれ、下がっていた眼鏡を直した。
その刹那、アントリーは地を蹴りひらひらのマントのような服をひらつかせ、カイツに覆い被さるように襲いかかってきた。


(スピードなら…勝てる!)

カイツは素早い動きでアントリーの背後につく。

「はっ!」

カイツの蹴りはアントリーの腕に阻まれ、行動も予測されていた。
更に華麗なジャブを繰り出すが悉く避けられ、ワイトに気耐え抜かれたカイツのパワーも完全に受け流されていた。
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