灰色の紋章
□第九章 新たな勢力
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二人は撃退に成功したにも関わらず、下を向き俯く。
「二人のコンビネーションは悪くはなかった。あとはどれだけ経験を積み強くなるかだ…!」
クレイトスはそれだけ言い残し、マイラが飛んでいった方向に歩いていった。
数時間歩いた後、クレイトスの無線が静かな森に鳴り響いた。
「ガイアンドか…どうした?」
…
……
「なるほど…分かった。では二人をそちらに向かわせるから後はよろしく頼む」
そう言ってクレイトスは無線を切った。
「この地域に住む魔族の危険度が分かった。結果は…人類にとって未曾有の危機を引き起こすほどだうだ。よって実力不足の冒険者以下二名はベガスに帰還しその後の指示に従うこととする」
強くなった…
いや…
強くなりたかった…
今回の任務を通し成長する事を目標にしてたが…
まわりにいるのは世界トップクラスの戦士達。
自分達は現場に赴くことすら許されないほどのひよっこ以下。
それが現状だった。
数時間後…
二人はベガス城の広間にいた。
既に生気は吸いとられた死人のような目をした二人はぴくりとも動くことはなかった。
「お前らがカイツとイリアだな。王城に遣える魔族を見た感想は?」
「戦ってみて分かった…魔族の中に闘気を使えるやつがいたんだ…今まで会った人の誰よりも…怖かった…」
「なるほど…そうもあろうかとベガス軍は冒険者協会の最高権力者に依頼を要請したんだ」
大階段を二人の男と老人が一人降りてきた。
"弱き力は必要ないが…強き意思を持った気持ちがあるなら力をつけまた戻ってくることじゃな。吐いて捨てるほどいる弱者に頼るほどわしらは甘くないぞ。せめてひよっこ程度には成長することじゃの"
白髪の細身の老人は俯く二人を見ずに通りすぎていった。
「ガイアンド。そのガキどもはあんたに任せるぜ。せいぜい殺さない程度に相手してやれ」
老人の後ろにいた大男が言った。
「了解しました」
こうして謎の老人、二人の男はベガス城を出ていった。
「…ってことで、強くなりたいならついてきな」
ガイアンドは城外に出ていった。
数分後、二人は外の空気を目一杯吸った。
そしてガイアンドの指示を聞く。
「もう師との修行なら積んできたんだろ?なら俺が鍛えてもそんな成果は得られないだろうな。お前ら…」
「ガルエラ武術大会でワン・ツー独占してこい」
「ガルエラ武術大会!?」
「三ヶ月後に行われるあの?」
「ああ。知ってたか?去年はベガスと帝国のいざこざがあってほとんどの猛者は参加を欠場してたんだ。今年は荒れるぜ…!」
こうしてガラッドとの再開、そして武術大会に備え各自修行に励んだ。
時には依頼をこなしたり、時にはベガス軍からの緊急要請に参加したり…
数多の実践を積み、二人は着々と成長していく。