灰色の紋章

□第九章 新たな勢力
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三ヶ月の時を経て…

新米冒険者だった二人はいつしか中級冒険者に格上げされていた。

しかし星を掲げる冒険者にはまだまだ長い道のり。
アントリーを倒す実力は確かにあるが、冒険者としてはまだ未熟である。




「着いた…ガルエラだ!ここも変わってないな」

大きなリュックを背負った少年はぼそっと呟いた。

「ガラッドに会うことばっかにとらわれちゃだめよ。まずは武術大会で優勝しましょ」

イリアはラフな服装で赤い髪の毛が目立っていた。


ガルエラの大きな闘技場に二人は足を踏み入れる。
そして感傷に浸りながらも、登録を済ませる。




そしてガルエラ武術大会が幕を開ける。




「「えーお集まりの諸君。こんなにも参加してくれて大変嬉しく思う。そこで提案なんだが…」」







「「お前ら、殺しあうか?」」


辺りは静まり返り、やがてざわついてくる。


「「言い方が悪かったか。とりあえず今近くにいるやつをぶち殺せ。って言っても本当に殺しちまったらアウトだから俺が合図するまで暴れまわれや」」


更にざわつく。

「「んじゃ…始め」」


まだ若く黒い眼鏡をかけた男が言った数秒後、みな一斉に奇声をあげ見苦しく無様に争い合った。


「くっ…なんなんだこれは!こんなの…武術でも何でもないっ…!!ただの暴力だ…!」

カイツは襲いかかる相手を軽く手刀で気絶させると、見覚えのある顔を発見し駆け寄る。

「カラウィさん!」

「んっ!?カイツ君やないか!」
「はい。今回の大会はなぜこんな粗相な…」

「わいにもさっぱりや。やけど噂はわんさか流れてるで」

「噂ですか?」

「ガルエラ王が何者かに襲撃を受け軍が混乱状態、ガルエラ国がベガスに向けて軍を差し向けた、その他もろもろや」

「そんな…」


もはやガルエラ軍一人一人が帝国に対する強い思いを持ち始め組織はほぼ崩壊していた。
トップを失った組織は崩壊し、やがて躍起し我を失う。


「止めなきゃ…」

「何言うてんねん!国と国との戦争やで!?あんた一人でどないするつもりや!」

「頼む…どいてくれ。あなたを殺したくはない…!」

「うっ…」
(なんつう目や…たった数ヵ月でどんだけ成長したんや)

カイツの数多の修行はまさにこの時のためのもの。
強くなり世界を救うためのものだ。
その意思は強く、「殺したくはない」という自信に満ちた言葉は本物だった。
この前カラウィが引かなければカイツは容易く躊躇なくカラウィを殺していただろう。
それほどに強くなり、武術は天と地の差であった。
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