BLUE SKY BLUE EYES

□04*
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第4話「想いはいつも一方通行」



『うわぁあああああああ…』
ぼすっとベットに横になる。

今日はたくさん話せてまだ夢心地だ。

『黒子君…』


君のことを考えるだけで、
胸が苦しいよ。


……

いつのまにやら朝になっていたらしい。
朝日が瞼を照らして私は目覚めた。

時計をみるとAM6:30。

『んーまだ早い』
二度寝しようともう一度寝返りを打つ。


…………

『…眠れない』

早く学校に行こう!はい、コレ今日1日目の課題ー


AM7:00
テーブルに置かれたまだ温かい朝食を頬張り、
家のドアを開けた。

ドアの向こう側からは優しい朝日が。

『…いってくる』


欠伸をしながら学校へ向かう。

『あふぁ…』

「寝不足ですか」


!?

『うぉ!?く、黒子君、おはよう』

「おはようございます」
黒子君とはあの角で合流したらしい。

『朝、早いね』

「今日朝練なので」

『あ、そか』

「…そういう名無しさんさんこそなぜこんな早い時間に?」

『あ、なんかね、二度寝しようにもなかなか寝付けなくて』

あははー、と笑う。

「…隈できてますよ」
そう言って黒子くんの顔が近づいてきて一定の距離で止まる。



黒子くんの澄んだ青い瞳が私を映し出す。

『にゃははーやっぱり?』
ぷいっと視線をそらす。ごめんっ

「あ…」

今回ばかりは配慮もなにもなしだ。近すぎる、

先ほどまで忘れていた黒子君に対する意識がぶり返してくる。

熱い頬に気付きながらも自然な素振りを見せようと必死になる。

そんな私の必死な素振りにも動じずに黒子君はずっと私を覗いている。


「…ほっぺ、赤いです」
そう言って手を差し伸べてくる。

なんだ!?拷問か!?わざとなのか!?
『あっ、いや、えと、き、気のせい、ですっっ』
なかなか黒子君の手が離れず反射的に黒子君の手首をつかんでそっともどす。

「…!手、冷たいですね」

『き、緊張してますから?』

「あ、」

『ん?』

「しばらく止まったままでした」

『ああっ黒子君、部活間に合う!?』


「大丈夫です。お先、失礼しますね」そう言って颯爽と去っていった。

私に背を向けたときの黒子くんの瞳に宿るものは私はまだ知らなかった。


『はやー…』
てか、手!手!触っちゃったよ、握っちゃったよ!!

『やっぱ男の子なんだなぁー』

ごつごつしてたし、
それに身長も…

『思ってたよりも大きかった…』

って変態か私は!

『あっつ…』
いろんな出来事があってありとあらゆる毛穴から(汚いけど)
汗が出てくる。

恋ってこんな感じ?

パタパタとタオルで仰ぎながら私は空を見上げた。

ガラッと教室のドアを開ける。

私の隣の席の黒子くんはどうやら間に合ったらしい、

ん!?私の机の上に見知らぬ制服が…
ぴろん、と広げてみるとほのかな石鹸の香りと大きな真っ白なワイシャツが目に飛び込む。


この大きさだときっと火神くんだろう。


『…寝れない』

私の頭に、火神くんの机で寝ればいいのではないかとそんな考えが思い浮かぶ。

…しかし、火神くんといえど男子。
机の列は男子のところだ。当たり前だけれど。

火神くんはこの間プリントを渡したことあったけど良い人だった、記憶がある。

『じゃあ、いいか』

ワイシャツやズボンを丁寧に畳む。
それを1セットにしてまた自分の机に戻す。

『…ふぁ…眠い』
私は朝のHRが始まるまで、火神くんの制服と自分のタオルを隔てて眠りにつくことにした。


カーテンの揺れる音、差しこむ朝日に恵まれながら、
私は本日二度目の睡眠を迎えた。

「…ん、名無しさん!」

『うへあ!?』

びっくりして肩が跳ね上がる。

「お、起きたみたいだな」

目を開けると火神くん、
『うぉ!?』
「…よぉ」
後ろに下がると首筋に息がかかって見てみると

『く、黒子君っ!?』
「…おはようございます」
ぎゃぁあああああ!

軽くパニックになってると、
さっき起こしてくれた日向先輩が「大丈夫か?」と心配してくれた。

『う、だ、大丈夫です』
どうして1年の教室に?と問おうとしたがどうやら顔に出ていたらしく、

「いやぁー、火神がさ自分の制服の上で名無しさんが寝てるとかいいだしてさー
見に来たんだよ」

ぽりぽりと頬を掻きながら言う先輩。

「あ、俺は日向 順平、よろしく」

『知ってます。男バスの主将さんですよね?』

「お、知ってたか。ま、よろしくな」

『は、はい!よろしくおねがいします、日向先輩』
にっこりと笑顔を見せる。

「お、おう」
そういってそっぽを向いてどこかへ行ってしまった先輩。

…なにかしちゃったかな。

少し沈んでいると、
火神くんが頭をわしゃわしゃと掻きまわした。

「気にすんなよ!」

やっぱり火神くんは優しい人だ。
『うん、』

火神くんが優しい人でよかった。

『あ、ごめん、私の机に置いてあったから分かりづらいかなって思って
持ってたー、あはー』

「…相変わらずフワフワしてんな。
お、畳んでくれたみたいで、…サンキュー」

『いえいえー、
あ、涎はついてないから安心して!』

「なんの安心だ!」

『あ、着替えるよね?出てるー』

「おう」


「…名無しさんの匂いがする」その呟きは私には聞こえなかった。

教室のドアを閉めると自然と笑みがこぼれる。

『やっぱ良い人だー』

「誰がですか?」

『火神くんだよー、あ、もちろん黒子君はめさめさ良い人!…ってえぇ!?』
着替えに行ったんじゃないの、とでも言うように私の口はパクパクしている。

「今朝はどうも。…なんか照れます」
黒子君はそのあと教室に戻っていった。

光のせいなのか心なしか黒子くんの頬が赤かった気がする。



あとは本当にいつもどうり。
空を見上げて、授業受けて本当いつもどうり。


私は帰宅部だからすぐ帰れるが、
通りすがりの先生に集計を頼まれて結局最後まで残ることになってしまった。

『はぁ…』
きりのないプリントを一つ一つ見て名簿に印をつけていく無限のループ。

日が傾いていく頃、やっと最終確認の段階に入った。

『もうやだ、疲れた、』

トントン、とプリントを整えて職員室に届けに行く。

『すみません、武田先生いますか、』

「あ、武田先生?それならたぶん体育館の隅に座ってると思うよ」

『わかりました』

そう、私は武田先生に頼まれたのだ。

杖を震わせながら重そうな荷物を持ってたところを手伝ったら見事に現在の状況だ。


『武田先生ってたしかバスケ部だよね』
おぉおおお!
それだけで興奮する私。役得!

体育館に到着する。

『えっと…上履き脱がなきゃだよね』
丁寧にそろえる。


ちょうどバスケ部はゲームの最中だった。

『おぉう…』

ちょうど女バスとの境目の端に武田先生はいた。
…なんだか頭がこっくりこっくり動いているのは気のせいだろうか。

とりあえず、いろんな角度から先生を凝視する。

『先生』
小声で手を振ってみたり、肩をたたいたりしてみたりした。

「ねぇ日向、あの子…」

「あ、あぁ名無しさんだ」

「ったく…」

「…」

…ん?なんだか視線を感じるのだが…

だらだらとガマの油のように居心地がむずがゆくなっていく。

ちらり、と後ろをみるとと、止まってる…!
男バスのみなさまこちらを凝視してらっしゃる…!

『あぁ、そうか。きっとアレだ。なんで部外者が神聖な体育館に入ってきてんだよ的な。
あぁああああ、ごめんなさい。』

あ、バスケ部集合かかった。

とりあえずそれで安心する私。

その隙に必死になって先生を起こす、

『せ、せんせーい!先生っ!起きてください!』

ゆっさゆっさと両肩を持って先生を起こす。

どうやらこれにはさすがの先生も気づいて、
先生にプリントを渡した。

下校の予鈴の放送が流れたので急いで教室へ戻る。

去り際、きちんと先輩方に挨拶したら向こうも返してくれた。

わたわたととりあえず入れるだけ入れる。
そして校門までひとっ走り。

『はぁ…間に合った』

もう空は薄暗い。
私は足早に去ろうとした。

「あ、名無しさんさん」黒子くんに話しかけられた。

『うへ、』
はたからみれば私は間抜けな顔をしている事だろう。

「よかったら途中まで、帰りませんか」

『え、あ、うん?』

ギャー!!




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