BLUE SKY BLUE EYES

□05*
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第5話「触れた温度」



『…』

「…」

チラ、と自分よりも少し大きい黒子くんを見る。
彼は前を向いている。

しばらく沈黙が続いている。

どうしようかと思った矢先、
直接手が2、3度触れる。

『…!』

「…」

ちらりと黒子君を見やるが、黒子君も私を見ていた。

『…ごめんっ』

「いえ…」


『っ!えと…?』

大きな手が私の手を優しく包み込む。

「家まですぐそこですから、
もう少しこのままでいてください」

『う、うんっ!』

恥ずかしくて顔が見れない。

…なんで黒子くんはこんなことするんだろう。

期待、してもいいの?
心臓、ウルサイ。

「…顔、あげてください」

いつの間にやら黒子君と別れるあの角に差しかかっていた。


『えっ無理っ!無理無理無理無理!!し、死ぬ』

「…いいから」

しぶしぶ霞みかける瞳で顔を上げると、


其処からはすべてがスローモーションだった。


顔が近づいてきて、それから…


黒子君の瞳が私と絡まって、

『キス、しちゃった…』
布団にもぐりこんであの出来事を思いだす。

『…』

でも、この出来事で黒子君の気持ちが分かったわけじゃない。

この私の期待が勘違いだったら?

『…怖い、な』




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