紅雲の部屋

□満月
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「なぁ、レイ……」

「なんです、ルカ……」

「レイは、満月は好きか?」

「どうしたんですか?突然……」

「いや、今宵は満月だから……」

「嗚呼……そういえば、そうでしたね」

ルカとレイはいつもの大樹の枝に腰を下ろしている。レイはルカの肩に頭を乗せている。

「ぼくは……あまり、好きではありません。なんだか、隠していたいものまで光の中へ晒しちゃいそうで……」

「そうか……わたしは好きだ。何者にも分け隔てなく光を当て、何事にも挫けず、いつも同じ場所で輝いている。と
ても美しく……」

「まるでユダ、みたいです。ルカが言う、満月は……ぼくより、綺麗ですか?」

レイの呟きと質問に一瞬驚いた顔をしたルカだがすぐにまさか、と微笑みレイの顎に手を添え、耳元で囁く。

「レイの方が、とても綺麗で美しいよ……」

「ルカ……」

二人は互いの唇を重ね合わせた。

優しく強く、互いの気持ちを伝え合うように、ずっと、いつまでも一緒にいられるように、このまま時が止まるようにと
真紅の夕日が輝くなか、二人はそう思わずにはいられなかった……

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