TVXQ
□ただこの言葉を
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今年は、無理だと思ってた。
俺たちが望んだ未来とは違う、現実の中で、あり得ないと思ってた。
3人での撮影が終わり、スタッフさんと話していた俺は、二人が待っているだろう楽屋へ戻った。
「ジェジュンヒョン、ジュンス、遅くなってごめん早く帰ろう」
そう言いながらドアを開けた俺は、ゆったりと椅子でくつろいでいる影を見つけてそこに立ちつくした。
「・・・ゆ、ユノヒョン?」
声を出してから、はっと我に返った俺は開けたままだったドアを勢いよく閉めた。
バタン、と音がしても、俺は動けなかった。
嘘だ。と思った。彼が、今ここにいるはずがない。
「ふっ。いつまでそこにいるんだ?」
それでも、そんな俺を笑う声はやはり、俺の恋人なわけで・・・。
「な、何でユノがここにいるんだ?」
茫然とつぶやいた俺に苦笑して、ユノヒョンは椅子から立ち上がった。
「恋人の大切な誕生日に、傍にいない恋人がいるのか?」
さらりと答えて、俺の大切な恋人は、ふわりと笑って俺を抱きしめた。
「ユチョン、お誕生日おめでとう。お前がこの世に生まれてきたことに、心から感謝するよ」
どこまでも優しいその声音に、気がつけば俺は涙腺を崩壊させていた。
「っ!ユノヒョンありがとう。っく」
「まったく。泣き虫だなぁユチョンは」
呆れたように呟くユノヒョンを見上げると、優しい目をして笑っていた。
その微笑みに、ますます泣けてきて・・・。
俺は声をあげてユノヒョンにすがりついてしまった。
「よしよし、泣きたいだけ泣け」
ポンポンと俺の頭を叩きながら、ユノヒョンはそう言ってくれた。