小説
□悪いのは、可愛い君の方
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もしかして、もしかすると・・・これは・・。
食べても・・・、いいのかな?
−基山様のお悩み−
ただいま俺は、理性を保つことに奮闘中。
その原因は、今俺の隣にいる存在が主に関係しているのだが、当の本人は知らん顔でテレビに釘付けになっている。
まぁ、そんな事はどうでもよくて。
俺がこんなにうろたえているのには理由がある。
・・・緑川が、俺に抱きついてきているんだ。
・・・。
はっきりいうと、そろそろ理性が切れそうなんだけど。
緑「うぅ・・」
もちろん、緑川はそんな事には全く気付かず、問答無用の上目遣い。おまけに涙目ときた。
・・・緑川には、危機感というものが無いのだろうか。
ヒ「・・そんなに怖いなら見なければいいのに。」
・・・そうそう。説明が遅れたかもしれないけど、俺たちは今、俺の部屋で最近話題のホラー映画をみている。
流石に話題作だけあって、結構怖い。
・・・いや、かなり怖い。
しかし、そんな中でも俺は、先ほどから俺の隣で小動物の様にふるふると震えている緑川のおかげで、全然映画に集中出来ていなかった。
どうしてか、なんて考えるまでもなく俺には答えが判っている。
緑川が可愛すぎるんだ・・・!
もう知っているかも知れないが、俺は緑川が好きだ。大好きだ。ていうか、もう、本当に愛してる。
それなのに、それに唯一気付いていない緑川は、縋る様に少し吊り上った大きな目に涙を溜めて俺を見つめてくる。
これぞ、本当の生殺し状態。
そろそろ我慢も出来なくなるかな、なんて思ってみたりする。
緑「怖いけどみたいんだから仕様が無いだろ!それに、ヒロトが一緒にみてくれるって言うから・・・・!」
・・うん、なんだろう、この可愛い生き物は。
しゅん、とうなだれている緑川はそれはそれは可愛くて、俺をどんどん溺れさせていった。
そんな俺には、もう理性とか、親友とかそんな事は全てどうでも良くなってしまって・・・。
ああ、
もう、
我慢なんて出来ないじゃないか。
悪いのは、可愛い君の方。
おわり
ヒロトさんの最近の悩みは、想い人が可愛すぎることです。