Novel

□アルフレッド君とアーサーさん
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これはとある敬愛サイトさまの漫画ネタに萌えてしまい便乗したおはなしです。祖国の家に座敷わらしちゃんがいる設定。しかも結構、アメリカと仲がいい!(重要ポイント!)人名注意なのです!
アルフレッドくんと大切な人の続きになります。




アスファルトの道をガラガラと音を鳴らしながら、馬鹿でかいスーツケースを持った金髪の青年と、軽々とリュックを背負った同じく金髪の青年は異国の地で目立っていた。
外見以外にも…

「君さ〜いくらなんでもたかが、一泊二日ぐらいでその荷物は異常なんだぞ…」

BOOO!と唇を尖がらせながら、呆れたようにスーツケースを指差すアメリカに、きっちりスーツを着こなしたイギリスはこめかみに怒りマークが何個も付くぐらい苛々していた。

「うるせーな!日本の家に行くのは久々で色々と世話になるからいいんだよ!それにお前のことだから手土産の一つも用意してねぇんだろ?!そのために俺が色々と持ってきたんだ!べ!別に!!!お前の顔を立てるためとかそんなんじゃねーからな!!!俺が持ってきたかったから!」

反論するイギリスの声に嫌気すらさしてきたアメリカは、両耳を大きな自分の手で覆い防音する。アメリカにとって反論するイギリスの声はニューヨークの雑踏より耳障りだった。

「あーもういいよ!言い訳は!」

「言い訳とはなんだバカぁ!!!」

ゆで蛸のように顔を真っ赤にして怒鳴るイギリスに、アメリカは明後日の方向を見ながら疲れきった表情で話す。

「あと国名で呼ぶのは禁止なんだぞ!彼女は国とかそういうの分からないんだから人名で呼び合うこと!!オッケー、アーサー?」

「分かったよ!アルフレッド坊や〜」


嘲笑うように口角をつりあげて、アメリカの人名を呼ぶイギリスに19歳のアメリカはついにぶちギレてしまう。

「本当ッ!君って皮肉屋だな!!だから菊の家に呼びたくなんかなかったんだよ!!!くたばれ!料理ドヘタ眉毛!!」

一番、気にしている痛いところを突かれたイギリスは、涙目になりながらアメリカの胸倉を掴むと喚き始める。

「なんだと!!この豚メタボ!!!育ててやった恩忘れやがって!!!」


売り言葉に買い言葉状態、いつもの世界会議ならここで腐れ縁のフランスがイギリスを宥めるところだが、あいにく彼は不在。
現超大国と元超大国の喧嘩はすさまじく、道歩く人は彼らを避けて見て見ぬふり状態だ。
そんな二人の目の前にいつの間にか、黒髪の青年と同じ色の小さな女の子が立っていた。

「あの〜…お二方の声…私の家まで聞こえてくるのですが…」

日本の家はイギリスやアメリカがいる場所から、さらに歩いて10分はかかる。結構な距離があるにも関わらず二人の稚拙な喧嘩は筒抜け状態だったようだ。
しかも迷惑極まりないという心情を無表情で隠した日本の一言に、二人は真っ赤になりながら喧嘩を中断した。

「ぁ…に、いや…菊…」
「は…ハロー菊!世話になるんだぞ!」

日本の傍にぴったりとくっついていた彼女は、悲しそうに繭を寄せてアメリカを見上げている。

「アルくん声大きい…迷惑だよ…」

「///DDDDD!!!やぁ!!元気にしてたかい?」

幼い女の子から注意を受ける超大国に、イギリスは噴出しそうになるのを何とか堪えた。
アメリカと彼女の関係は相当深いらしく、更々のおかっぱ頭を大きな手で撫でると満面の笑顔を浮かべている。

「うん!!!アルくんが来てくれるの楽しみで昨日は寝れなかったの!!」

アメリカのお腹ほどの背丈しかない彼女は、細い両手を腰に回すとギュウと抱きつき、アメリカも笑顔満開で、彼女を軽々と抱っこするとイギリスの傍に近寄った。

「彼が君の会いたがってた人なんだぞ!」

アメリカの紹介に彼女は軽くぺこりと頭を下げて、日本と同じ黒真珠のような穢れの無い瞳をイギリスに向ける。
イギリスははにかむような笑顔で、彼女に片手を差し出した。どうやらイギリスは女性の扱いには慣れているものの、幼い女の子の扱いは皆無らしい。
それこそ、新大陸にいた幼くあの頃は天使だったアメリカを育てて以来だ。

「ぁ…やぁ、こんにちは、俺はイギリスって国から来たんだ…アー」

人名を名乗ろうとして、彼女は頬を桜色にして微笑んだ。

「アーサーさん…」

「えっ?俺のこと知ってるのか?」

「アルくんの写真に写ってたから…ぇ…と、う…Welcome to Japan!アルくんの大切な人…アーサーさん!!」

アルくんの大切な人≒アメリカの大切な人。
純真無垢な彼女の言葉は今やアメリカが二度と口にすることはできない。
それをあっさりと言った彼女に日本はこらえきれずブッ!!と噴出してしまい、イギリスに至っては火山が噴火したみたいに、プスプスと頭から湯気がでている。
アメリカは真っ青になって真っ赤になって、彼女の小さな肩に顔を埋めた。
Shit…と小さく呟いて。




アルフレッドくんとアーサーさん





 

 
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