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□学ヘタ〜皆で楽しもう学園祭〜
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色んなカプがいりみだってます!男女カプもあるので苦手な人は注意!(米英・西ロマ・仏セ・普+洪)


ここにいたるまでの簡単なあらすじ!
学園祭を実行することになった極悪生徒会長。何とかなるさ俺はヒーローだからね〜な副会長アメリカはスルーして、何とか生徒会皆の力で学園祭を開くことに成功!最終日、軽音部(オーストリアがピアノ担当!)の協力で体育館がダンスホールに!そして学園祭もフィナーレにさしかかったとき、曲調も変わりオーストリアのピアノ演奏になり、チークダンスへ…




学ヘタ〜皆で楽しもう学園祭〜






体育館を包む激しいロック音、学園祭最終日ということもあり生徒たちはのりのり状態だ。そんな生徒たちの姿を鋭い視線で舞台袖から見つめているのは敏腕切れ者と名の高い生徒会長、イギリスだった。
学園祭のスケジュール表をクルクルに丸めて指示をだすさまを、アメリカは隣でハンバーガーを食べながら何もせずただ眺めている。

「よし!!ここまで全て完璧だ!!!あとはオーストリア、ゆったりスローな曲で頼む!」

オーストリアは表情を崩すことなく楽譜を持つと、

「任せなさい、おバカさん」

余計な一言を残して歩き始めた。

「誰がバカだ!!この野郎!!」

頭の上でヤカンが沸かせそうなほど真っ赤になって怒り出すイギリスを、アメリカは仕方なく背後から抱きしめるような形で抑える。

「も〜ここまできて喧嘩はやめるんだぞ!イギリス!!」

うるせ〜こら待て!オーストリア!!!と怒鳴るイギリスをあっさり無視して体育館の真ん中に置かれスポットライトを浴びたピアノに向かって歩き出すオーストリア。

「ったくあの野郎!学祭終わったらシめる!絶対シめる!!」

暴言を吐き極悪面なイギリスの頬をぷにぷにと突きながら、アメリカは笑顔満開ではしゃぎだした。

「その前にこれが終わったら打ち上げなんだぞ〜〜〜!!!!一次会はマックだろ!二次会はマックに三次会はマック!!反対意見は認めないんだぞ!!!」

「はぁ?お前バカか?打ち上げなんてできるわけねーだろ!!後片付けもあるのにそんな余裕ないつーの!」

イギリスの皮肉混じりな言葉にアメリカはただ真っ青になり脱力してしまう。

「えぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜????!!!!そんなのきいてないんだぞ!!!」

駄々をこねる子どものように床に寝転んでバタバタ手足を動かすアメリカを、イギリスは冷めた目線で見つめ小さくため息をついた。

「お前が聞いてなかっただけだろバーカ!ちゃんと説明したっつーの。」

聞いてない!!!を連発するアメリカをほったらかして、イギリスが歩き出したその時。
軽くイギリスの身体が左右に揺れたかと思うと、フーっと後ろに重力に抗うことなく倒れていく。

「イギリス!!!」

慌ててアメリカがイギリスを抱きかかえ、後頭部が冷たい床に叩きつけられることは、さけることができた。
しかしイギリスは真っ青な顔色で、固く目を閉じている。


いつもは飄々としているアメリカがパニックに陥っているころ、会計担当のフランスは…




「いいのかフランス?極悪生徒会長に任せっぱなしで、後で何されるかわかんねーぞ?」

「いいのいいの〜アメリカがついてるから、その方が坊ちゃんも喜ぶから〜」

「なんなん?!やっぱ極悪会長とメタボ眼鏡ってできとるん?!!」

「できてるもなにも、青臭い臭いぷんぷんじゃない?もーお兄さん歯がゆくて歯がゆくて見てられないってゆーか…何お前ら中学生日記〜?!みたいな感じだよ。」

今日も仲良し悪友トリオは、賑やかな本館廊下を談笑しながら歩いていた。
スペインの『なぁ今からナンパしにいかへん?』に賛同した二人は、外部からやってきた女子高生の生足を見ては鼻の下を伸ばしている状態。
そこへ、軽やかな足音が聞こえ…

「フランスさん!!!!やっと見つけた!!!!」

突然の甲高い呼び声にフランスは肩を震わせ、恐る恐る振り返った。
そこに立っていたのは、息絶え絶えになって髪も若干ボサボサになったセーシェルだった。

「あらら〜お疲れセーシェルどーしたの?」

午前中、全体の動きを担当していたセーシェルは午後からイギリスに交代しハンガリーやリヒテンシュタインとクラスの催し物を見に行っていたはずだ。
だが、目の前にいるセーシェルはみるみるうちに浅黒い肌を赤く染め上げ、フランスから視線を逸らしながらスカートを握り締めているだけ。
あ〜、う〜だの呻りながら、意を決したのかセーシェルはフランスを上目遣いで見つめ言い放った。

「…あのですね…もうじき体育館でチークダンスがあるみたいなんです!!よ…よかったら、い…一緒に…だって眉毛もアメリカさんもいないし!!!その…」

セーシェルの言いたいことを察したプロイセンとスペインは、少し二人から離れて様子を伺っている。
耳まで真っ赤にして俯いているセーシェルを見ながら、フランスはクスクスと笑みを零すと細長くしっとりとした手を掴み屈むとチュと音を鳴らした。

「Mademoiselle、お兄さんでよかったら喜んで…」

「あわわわわわわわわ????!!!!フラ、フランスさん!!!!」

フランスの突然の手のひらの口付けに、セーシェルは両目を見開き茹で蛸状態で、どもりまくり言葉になっていない。

「てことだからお兄さん行くわ〜」

そう言い残してセーシェルの熱い手を握り締めると、フランスはぽつーんと残されたプロイセンとスペインに軽く手を振りダンスパーティに向かった。

「えっ?!フランス?!」

スペインの声はもう届かず、二人は人ごみのなかに紛れていく。
スペインはムスゥ〜〜と顔をしかめ残されたプロイセンに視線を向けた。

「なんなん!!!!悪友ほっといていく普通?!しかも自分だけ可愛い女の子と一緒やし!」

プロイセンはため息をつくとケセセと笑い、スペインの肩に手を回した。

「しかたねーだろ…いたいけな女の子が必死で頼んでんだから…フランスなんていちころだろ…飯食いに行こうぜ〜」

プロイセンの提案にお気者なスペインはすぐに笑顔満開になり、せやな〜とお返事。

「あ!ほな、ロマーノのクラスのパスタ食べに行きたいわぁ〜めっちゃ絶品やねん!」

スペインのロマーノ馬鹿は学園でも有名で、何かと理由をつけては彼のいる教室にいきたがる。

「お前…昼も行ったじゃねーかよ」

「ええやん!ロマーノめっちゃ可愛いし料理最高やし!!ロマーノ充電したいねーん!!!」

駄々をこね始めるスペインにプロイセンは呆れ果ててしまった。学園祭始まって3日間ともロマーノのクラスの出し物であるパスタ店に行っている。確かに味はピカイチだがこう毎日、パスタ漬けだといい加減飽きてくるもので…
全く飽きないスペインがすごいなぁ〜というか、本当ロマーノ愛だな〜と感心してしまう。

すると、背後から聞き覚えのあるドスのきいた声が聞こえ…

「おい!!ハゲ!!」

二人が振り返ると、そこにはロマーノが不機嫌面満開で仁王立ちしていた。

「へっ?ロマーノ…どないしたん?今から行こう思ってたんよ〜!パスタ食べに〜!」

スペインがヘラヘラ笑っていると反するようにロマーノの眉間の皺が深くなり無言でスペインに近づいてくる。
そして右手を大きく振り上げると、おもわずプロイセンが視線を逸らすほどスペインの鳩尾にロマーノのカウンターパンチが…
それは見事に入った。
瞬間、スペインの断末魔の叫びが廊下中に響き渡り、お腹をおさえながら蹲まった。

「げほげほッ!!!何すんの〜ロマーノ…」

「バカッ!!!!…最後のチークダンスは…一緒に踊るって約束…忘れたのかよ!!…折角、イタリアとドイツに店番変わってもらって…待ってたのに…お前いつまで経ってもこねーし…約束、破られたって…」

最初は激怒していたロマーノの表情が徐々に曇り、今はその栗色の瞳がウルウルしていて涙がでるのを必死で堪えてる状態だった。
スペインはふと頭を傾げ、記憶をたどっていく。
そういえば学園祭の初日、嫌がるロマーノを必死に言葉巧みに説得していたような記憶が過ぎり…

「…あ…せや…俺ロマーノと約束してた!!!!うわああああああ!!!めっちゃごめん!!!ほんま許して!!!!ロマーノ!!!今から行っても間に合うでぇ〜〜〜〜!!!」

スペインは慌ててロマーノを軽々とお嬢様抱っこすると、疾風のように廊下を走り去っていった。

「ほえ〜〜〜??!!バカ〜〜〜〜〜!!!下ろせ〜〜〜〜〜〜!!!!!!!」

ロマーノの怒鳴り声が救急車のサイレンのように小さくなっていくのを、プロイセンはぽつんと一人廊下に佇みながら聞いていた。

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