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□拍手ログ
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【子ども/スティユキ】

「見れば見るほどそっくりだな」
「フローもそーもう」
「こうもそっくりだとクローンみたいですよねハイ」
「う?」

パチパチと空色の瞳が一人と二匹に向けられる。その瞳も、癖の強い金の髪も、すこしだけ垂れた目元も、三者がよく知る人物そのものであった。

「ふふ。スティング様の生き写しみたいですよね」

それをこの世に産み落とした張本人はどこか誇らしそうにそう語る。自分との共通点を探すより、夫との類似点を見つけることの方がどうやら楽しいようだ。

母の腕に抱かれたプチスティング(仮)は、無防備な顔を曝しながらコクリコクリと船を漕ぐ。

「スティングはどうした?」
「書類仕事でてんてこまいです」
「…う、あー」

“スティング”の名に反応したのだろうか。小さな手が何かを求めるようにユラユラと揺れる。

「パパ様はお仕事中ですよー?」
「ぱあ!ぱあ!」

これはマズい。一旦こうなってしまうと顔を見るまで諦めないのがプチスティングだ。寝かしつけてしまうと簡単なのだが、そうすると起きた後の機嫌が大層悪いのである。

「もう。じゃあちょっとだけ顔を見に行きましょうか」
「うー」
「パパ様の邪魔はしちゃダメですからね」
「…おいユキノ」
「はい?」

ローグの呼びかけに足を止めた。物言いたげな彼の瞳にキョトンと首を傾げる。その顔は一児の母とは思えないくらいに若い。

「それ……、スティングの呼び方なんだが」
「ああ……“パパ様”ですか?」
「ああ。それは、その…」
「内緒にしてくださいね?スティング様の前で言うといつも怒られちゃうんです」
「…………」

それは、事が露見した後に大目玉を食らうのではなかろうか。そう思ったローグだが、これ以上の追及は諦めて口を噤んだ。あのスティングのことだ。どうせ最後はユキノに丸め込まれてしまうことは想像に容易い。本人にそんなつもりはないのだろうが、如何せんスティングという男はユキノという女に滅法弱いのだ。

幸せオーラを振りまきながら執務室へと消えていく小さな背中を見送って、ローグは誰に聞かれることもなくひっそりと嘆息した。

まあ、なるようになるともさ。



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