□姉雛
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GAGEND注意みたいな。














おめでとう     おめでとう     おめでとう

     おめでとう     おめでとう     おめでとう

あぁあぁ耳障り。騒々しい。どうせ彼らは酒を呑む理由が欲しいだけなのだ。

今は、ベアトリーチェと戦人の結婚式。

(妹が幸せならそれでいい・・・)

本当に幸せなのか?

(好きな人との結婚だ。嬉しいに決まってる)

彼女は戦人の隣で楽しそうに話している。

(だけど、彼が好きなのは本当に貴女なのか―――・・・?)

彼は彼女越しに別の誰かを見ている。

(愛した女の娘だから愛すのか――・・・)
(そもそも父娘で結婚できるのか?)

あの二人に聞いたら
『愛の前にそのようなことは瑣末な問題!』
『嗚呼愛とはなんと素晴らしき哉!』
とでも言いそうだ。


ベアトリーチェと目が合った。
恥ずかしげに手を振っていたので、妾も振り返した。

妾はそれからすぐに大聖堂を出て行った。
とは言っても大聖堂のバルコニーだが。

出て行くときにシエスタ隊とか言う妹の邪魔をしたヤツを見かけたので、耳を引っ張ってやった。


「ふぅ・・・」
やっと一息つけた気がする。

少しの間外の風に当たっていると、バルコニーの扉が開いて、小さな女の子が出てきた。
全身ピンク色の、気の強そうな女の子。

「あっれ〜?ベアト?何?また髪下ろしたの?」

彼女は馴れ馴れしく話しかけてきた。

「・・・」

「? 何、また口利けなくなっちゃったァ?」

彼女は愉快気に口を歪ませながら笑った。

「誰だ。お前は。妾はお前など知らぬ。」

「・・・!へぇえ〜〜〜。そういえば印象違うかも。」

彼女は妾を舐めるように眺めてから
「そう、私は絶対の魔女ラムダデルタ。よろしくね」
と握手を求めてきたが、すぐに引っ込めた。
飽きっぽい性格らしい。

「ごめんなさい?バルコニーに人が入っていくのが見えたから。追いかけてきたの。」
ラムダデルタは手をひらひら振るとすぐ中の喧騒の中に消えていった。

「・・・〜はぁ。・・・この世界にひとりになれる場所は無いのか?」

妾はため息をついてからバルコニーの手すりに頬杖をしながら、星を眺めた。

(このカケラの星空の中に、彼女が彼に愛される世界はあるのか)

カケラはそれこそ無限にあるから、きっとどんなに確率が低くともきっとあるだろう。

(でもそれは、彼女であって彼女じゃない)

平行世界の他の人間。あるいは魔女。或いはそれ以外の何か。

なぁ我が妹よ。
お前が戦人に愛される確率は一%に満たないのかもしれないのだぞ。
仮に愛があっても、その愛は親愛であり、恋人としての愛じゃない。

(貴女はそれに、いつ気付く?)

貴女がたとえ彼を選んでも、
妾は貴女を思い続けるけど、
貴女はこれに、気づかない
(貴女はこれに、気付かないで)

あぁ我が愛しの妹よ!
戦人がイヤになったらいつでも帰ってくるが良い!

私が、貴女を一番大事に思ってるに決まってる!

***

軽くお直し(11.3.30)
ベアトらびゅー

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