□ドラヱリ
1ページ/1ページ

ベルンちゃんマジゲロカス

























誰もいなくなり、静寂が部屋を包んでいた。
部屋という表現は正しくない。

第5のゲームにおいて、戦人が思考を止め、この世界での死を迎えた場所。

第6のゲームにおいて、ヱリカがベアトの決闘を受け、そして、・・・敗北した場所。


大聖堂。
そこの、ヱリカが死んだと思われる場所に、ドラノールは立っていた。

「ヱリカ卿・・・」

今は亡き主に思いを馳せるのも人前では出来ない。
ヱリカの死体は既に無く、その死に顔を見ることも出来ない。

「私は・・・どうすれば良かったでショウカ・・・」

一人、後悔をするのも、只の自己満足。

「貴女と・・・やっと・・・通じ合えたと思ったノニッ・・・」

ドラノールは右手で顔を覆う。
でも涙は出ない。殺人人形だから。

「貴女がっ・・・!ヱリカ卿がっ・・・!・・・好きデスッ!」

それは独白。誰も聞いていない。

だから、これも只の自己満足。

だから、この大聖堂に誰かが来ても分からなかった。

「上司ドラノール。大ベルンカステル卿より、至急との命を承った事を報告する也や」

「分かりマシタ。すぐ行きマス。」

それだけを告げ、部下は消えた。
ドラノールもそれに続き、大聖堂には本当の静寂が訪れた。



「大ベルンカステル卿。私に何か御用事デモ?」

「愚問ね。用が無ければ、貴方達なんて呼ぶわけ無いでしょう?」

「それもそうデスネ。愚かな質問にお詫び致シマス。」

ドラノールの脇には、いつも通りガートルードとコーネリアが待機していた。

「それで。私に何の用事でショウ。」

ドラノールは少しでも長くヱリカの死体のあった場所に戻りたかった。
彼女の死を悼む人は此処には居ない。自分だけでも悼んでやる人がいれば、と思った。
多分、彼女がいたら「余計なことしないで下さい」と言うだろう。

ベルンは厭らしく笑って最悪の言葉を告げた。


「貴方達。もう要らないから帰って良いわ。」


「・・・え?」

「要らないから帰れって言ったのよ。このゲロカス。」

「何故でショウカ。大ベルンカステル卿」

「だって貴女達使えないんだもの。それなのに置いておく必要ないでしょ?」

ベルンは残酷に笑った。

ドラノールは勿論、次のゲームでも闘うつもりだった。
ヱリカの仇討ちと云う訳ではないけれど、少なくとも最後まで参加したかった。

「だっ、大ベルンカステル卿ッ!私は納得できマセンッ!」

ドラノールはベルンの前にある机を叩き割らんばかりの勢いで叩いた。

「上司ドラノールっ。落ち着き給えっ!」

部下がドラノールを諌めようとするがドラノールは聞かない
ベルンカステルは続けた。

「ドラノール。ヱリカが死んだ以上私が主よ。主の命令は絶対。」

「あッ・・・主・・・の、命・・・令は・・・」

「絶・対よっ!ねぇラムダ?うっふふふふふふふっ!」

「えぇそうよベルンっ!さっさとゲーム盤を出て行きなさいっ?!」

ドラノールは最後の悪足掻きで口にした。

「せっ・・・せめて・・・最後まで見届けることは出来ないでショウカ・・・。」

二人の魔女はそれすらも予見していたように楽しそうに笑った。

「あっはははははははっ!どうするベルンっ!?貴女の僕が御嘆願しているわっ!」

「そぉねぇっ!慈悲の心くらいは良いかもねっ!分かったわドラノールっ!貴女にゲーム盤に残ることを許可するわ。ただし、赤と青の使用を禁じるわ」

「モチロン、介入もキ・ン・シ!」

それは本当に見るだけ。だけど・・・
「分かりマシタ。」
ドラノールは要求を飲み込み、再び大聖堂に戻った。



「はぁ・・・ヱリカ卿・・・」

ドラノールは泣き崩れた。でも涙は流さない。
殺人人形だから。

ヱリカの死体があった場所に寝そべった。
こうすればさっきよりもヱリカを感じられると思った。
今度こそ、彼女を邪魔する者も、理由もなくなった。


次のゲーム開始時までこうして居たかったけど、それこそヱリカに馬鹿にされそうなので、止めておく。


***

ドラヱリは今でも大好きなCP
ヱリカ単体でも大好き

なおしたひ(11.4.1)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ