□ベルリオ
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朝。
私の片手には、お玉。
何をしに行くかといえば――・・・
「―――っウィル――!!朝ですよ起きて下さいっ!」
私は持っているお玉でウィルの頭を小突いた。
「・ ・ ・ 痛ェ・・・」
布団がもぞもぞと動いてウィルが起き上がる。
「―――ッ!!ウィル――っ!いっつも言ってるでしょうがっ!!」
私は持っていたお玉でウィルの体を差した。
「・・・?」
ウィルは訳が分からないという風にぽかーんとした顔をした。
「ふ、服をっ!着てから寝なさいっ!!!」
私は顔を怒りで真っ赤にしながらウィルにその辺にあったシャツを投げつけた。
「・・・ダイアナー」
しかし彼はスルーして布団の中から猫を出して私の前に差し出した。
とりあえず抓っておいた。

「っもう!何回言っても聞かないんですからっ!」
私はダン!と音を立てながらウィルの前に朝食を置いた。
「ほら、癖って抜けねェだろ?」
ウィルはダイアナに餌をやりながテレビを見ていた。
「次・・・やったら・・・朝飯抜きにしますよ?」
「・・・いや別に――「ダイアナの」
彼が答えようとするのを無視して一言付け足した。
―――私が出せる最っ高の黒笑顔をしながら。
心なしか一瞬ダイアナが震えた気がしたんですが―――・・・ま、気のせいですよね☆
「今度から気をつける。」
ウィルは自分のご飯をもそもそ食べながら言った。

 ―――・・・あぁ、何て、幸せ。
  こんな時間がずっと・・・ずっと続けばいいのに。


うっふふふふふふふふふふ
それ最っ高ォにつまらなさそう
退屈すぎて死んじゃいそう
冗談じゃない許さないわそんなの。


「・・・っ!?っここっ!!」
私は気がつくと、クレルが立っていたステージの上にいた。
「な・・・ぁ、ここ・・・一体・・・」
私が言うと、どこからか声が聞こえた。
「やっとお目覚め?右代宮理御。」
声は、私の目の前に来て、そこに、青い髪の女の子が現れた。
えっと・・・確か、ベルンカステル?って言いました?
「こっ、こんな所に・・・連れて来て何の用です・・・」
私はなるべく強い口調で話しかける。
けど、彼女はそんな事何とも思っていないようだった。
「私が連れてきたんじゃないわ。・・・まぁ、命令したのは私だけど。
 命があるだけ有り難いと思いなさい?」
そう言うと彼女は客席の方を向いた。
「それにしてもアンタって本当カワイソウ。
 魔女になってもならなくても妄想の世界でしか生きられないなんて。」
・・・
最初、彼女の言ったことが分からなかった。
「え・・・?何・・・を・・・」
彼女はまた私の方を向いて、私に向かって歩いてきた。
そして彼女は、自分の手を私の頬に手を当てた。
ひんやりしていて生きていないみたいだった。
「・・・っ」
「・・・ねぇ、思い出して?
 ウィルもクレルもラムダも七姉妹も、全て、貴女の妄想だって―――そして、」
彼女は言いながら私の顔に自分の顔を近づけていった。
それこそ、息がかかるくらいに。
でも、それよりも。
「・・・っあ、あ・・・あ・・・っうぁ、だ・・・だめ、言わな・・・で・・・っえ」
私は目に涙を溜めながら彼女に懇願した。
でも彼女は顔を歪めて嗤った。
         とても、哀しそうに。
「私も。―――――くすくすくすくすくす」
彼女の哀しい笑い顔は、黄金の蝶となって散った。
さっきまであったステージも、もうない。
「・・・ぃ・・・ぁ・・・ぁあぁぁあぁぁああぁぁぁああっ!!!」
そして私は崩れ落ちる。


うみねこのなく頃に、誰も生き残れはしない。


――――残ったのは、うみねこ達と、美しくも恐ろしい、魔女の話。

幻想のベールは、
全てを包み込み、
闇へと葬る


――――――――――――――――――――
お題配布元
真っ赤な嘘。

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