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パラレル。
EP7ネタバレ。
無理な人はブラウザバック。









「・・・ゲーム盤の」
暗い部屋に魔女の声が木霊する。
「準備が出来ました。」
魔女はそう言うと、演劇の主役がそうするように両手を掲げた。
しかし何か思い出したようにすぐに手を下げた。
「・・・彼に。招待状を送らなければ。」
魔女が両手を前に差し出すと。そこに、方翼の鷲が描かれた手紙が現れた。
「ロノウェ。これを彼に。」
「畏まりました。」
今まで魔女しかいなかった其処に、執事のような、中年の男性が現れる。
彼は手紙を受け取るとすぐに消えてしまった。
「・・・。」
再び、部屋にいるのは魔女だけになる。
「・・・私の、招待に応じてくれると嬉しいのですが。」
魔女が誰ともなく言うと、虚空に煌びやかな女性が現れる。
「だぁいじょうぶよぉ、これだけ頑張ったんだもの、きっと来てくれるわ!」
「・・・そう・・・で、しょうか…?」
不安げに魔女が尋ねると、女性は魔女に手を差し出した。
「大丈夫大丈夫っ、彼が来るまで一緒に紅茶でも飲みましょう?」
すると、魔女の顔に笑みが浮かび、彼女の差し出した手に自分の手を重ねた。
「あ・・・でもさっきロノウェは・・・」
「じゃあリーアにでも淹れて貰いましょう☆」
「鯖ティーなどを淹れなければいいのですが・・・」
「確かに―――っ」
二人は楽しそうに会話をしながら部屋から消えた。

「―――・・・」
朝。というより、時間的な朝。
何でこんな時間に目が覚めたかというと。
こんな早くにやってきてさっきから機械的に扉を叩いてる奴の所為だと言える自信がある。
溜息を吐きながら扉を見る。音が止む気配はない。
仕方がないのでのろのろと起き上がって扉を開けた。
其処に立っていたのは
「謹啓。早朝からの訪問、誠に申し訳無いと申し上げ奉るもの也や」
ガートルードだった。
「あぁ、ガートルードか。こんな朝っぱらからなんか用か?」
頭を掻きながら片手で扉を押さえる。
「用など無ければ斯様な所来ぬものと知り給え」
    (あー、仕事の話・・・か?)
もう一度深く溜息を吐く。
「で、こんな早く来るってことは、急用か?」
「そう也や。本日無記名で我が部署のポストに投函されていたものと知り給え」
ガートルードはどこから出したのか、封筒を取り出した。
それを、彼に向かって差し出した。
彼はその手紙を引っ手繰る様に奪い取った。
「・・・おいおい、・・・冗談だろ?」
「・・・それでは、帰らせて頂く也や。」
ガートルードは彼にお辞儀をして立ち去ろうとした。
「ああ、仕事中にわざわざありがとう」
彼が言うとガートルードはほんの少し顔を綻ばせた。
「それから、ドラノールに伝言頼んでいいか?」
「・・・何用也や」
「愛してるぜって」
「死に給えや」
ガートルードは彼を睨み付けて、乱暴に扉を閉めていった。

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