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「・ ・ ・ 。」
目が覚めたら船の上だった。
「・・・何だってんだこりゃあ、」
率直に思ったことを口にする。
彼の名前はウィラード・H・ライト。
SSVDの異端審問官だった。
今は退職しているが。
「おぅライトさん、もうすぐ着くから降りる準備しとけー」
船を運転しているらしい中年の男性が話しかけてきた。
ウィルは振り返って軽く頭を下げた。

六軒島。
「着いたぞー、大丈夫かいライトさん。」
男性が先に下りて彼に手を貸そうとしたが、ウィルはそれを制した。
「あァ、大丈夫だ。すまねェな、わざわざ船出してもらって」
男性は豪快に笑った。
「いやいや、そんくらい大丈夫大丈夫。じゃ、俺はこのまま帰らせてもらいますわー」
そして男性は船に乗り込み、そのまま行ってしまった。
ウィルはそれを見送ると、島の方に歩いていった。

薔薇庭園。
「あァ?・・・っかしーな。ここじゃなかったか?」
ウィルは片翼の鷲の描かれた封筒を出し、中の手紙を出した。
「・・・んん、ここでいいんだよなァ。・・・誰もいねェ」
ウィルはもう一度あたりを見回すが、誰もいない。
「少し待ってみっかァ」
言いながら薔薇庭園を歩いていると、ゲストハウスの方から誰か来た。
「うぉっ、やべっ」
ウィルは凄い速さで屈み、周りの様子を見てみた。
「私ですよ。ウィル」
急に後ろから声をかけられて驚いたらしく肩を跳ね上げた。
「あァ・・・理御か。」
「すみません。遅れてしまいまして。」
項垂れる理御の頭に、ウィルはそっと手を乗せた。
「大丈夫だ。誰にも見つかってねェしな。」
「そうですか。なら、よかったです」
理御は口元に笑みを浮かべた。
「・・・あ、ところで理御。」
「何ですか?」
ウィルはまた、封筒を出して理御に見せた。
「これ、どこから調達した?」
「あぁ、お祖父様に頂いたんです。」
「じゃあどうやって手紙を出した?俺の昔の職場をお前は知らないはずだ」
ウィルが早口に捲し立てる様に言うと、理御は少し怯んだようだった
「え・・・と、すみません。よく知らないんです。」
「は?」
「いえ、ベルンカステルさんにお願いして・・・だから・・・手紙がどうなったかは・・・」
「・・・そうか」
まだ疑問は残ったが、理御は何も知らなさそうだし、
ベルンカステルも後で顔を出しそうなので、深く聞かないでおいた。
「でも、来てくれてよかったです。もし来てくれなかったらどうしようと・・・っあ!?」
「理御!?」
突然、理御が苦しそうに胸を抱えて蹲った。
「・・・ッウィ・・・ル・・・?これ・・・は・・・」
「理御?理御!?おい、しっかりしろ!」
ウィルが理御の胸を見てみると、其処には、赤い模様が広がっていた。
「は・・・な・・・これ、理御!どうした!?何でこんな・・・」
すると、後ろから笑い声が聞こえた気がした。聞いている者を不愉快にさせるような、そんな笑い声。
「・・・っ!?」
後ろを向くと、其処に、いるはずの無い、魔女が・・・・・・笑いながらこちらを見ていた。

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