短編集

また会える
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雲一つない広い青空が広がる。
今日はなんていい天気なんだろう。
お前もこの空見ているといいな。



- また会える -



不思議なことがおこったのは俺がサッカーの県大会を間近に控えたある日の夜のことだった。
それは本当に不思議で夢でも見ていたかのようにさえ思った。

「それじゃ亮、気をつけてね。」

「そっちも」

静かに扉が閉まり、室内にも静寂が広がる。
俺は今日からしばらく一人暮しだ。不安と期待が混じったなんとも言えない不思議な気分のまま俺はリビングでテレビを見ることにした。

何故一人暮らしなのかというと、両親が宮崎に住む親戚の結婚式に出席するためだ。俺にとってはあまり知らない人だし、大会が近いとの理由で出席しなくても良くなったのだ。
ただやっぱり一人暮らしって憧れるけど、ちゃんとやってけるか心配だし…怖い。
家族と一緒なら窮屈に、でも安心感を感じることが出来るこの家でも、一人になるととたんに広く、恐ろしく感じる。

ところで何をしようか。特にすることがない。今やっているテレビもくだらなくて非常につまらない。

『ピンポーン』

急になった玄関のチャイムに思わず身構えてしまった。
こんな時間に…だれだ。
俺が出ない気配を察したのかもう鳴らなくなった。と思ったら、連打で鳴らしてきた。

うるさいし、迷惑なので俺は恐怖も忘れ、怒りと共に玄関にダッシュして勢いよく扉を開けた。
不審者だったらどうするんだとかは無しで。

顔をあげるとそこには俺の良く知る顔があった。

「優太…どうしたんだ?こんな時間に」

「いやお前が一人だって聞いて。ほら差し入れ。」

コンビニ袋を軽く持ち上げてそそくさと入って行った。
驚きもあったけど嬉しさの方が勝ったので何の疑問も持たずに優太を受け入れた。


優太は俺と同じサッカーチームのメンバーで親友でもあり良いライバルだ。
お互い助け合って、競い合ってここまでやってきた。
本当に優太以上の奴はいないだろう。

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