短編集
□また会える
2ページ/4ページ
俺達はくだらないこと話して盛り上がっていた。でもやっぱり自然と話は県大会のことに向いていく。
「勝てるといいな」
「ああ」
でも此処で不思議な違和感を感じた。県大会の話をしても優太は楽しそうではないのだ。何かあったのだろうか…。
「何かあったのか?」
「亮さ、俺がもし出られなくても頑張れよ。」
優太は俺の質問に答えずこう言った。
「は?何でだよ。何かあったのかよ!」
「…」
このあと優太は何を聞いても何も答えてはくれなかった。
なんだよ…。親友って思ってたのは俺だけかよ。
無性に怒りが込み上げてきて、無性に悲しみが込み上げてきて、俺はおかしくなってしまいそうだった。
長い沈黙が続くなか優太は一度も俺に視線を合わさない。なんだっていうんだ本当に。
その時、静かな部屋の沈黙を破るかのように電話の音が鳴り響いた。
俺は怒りを溜めたまま乱暴に電話に出た。明らかに礼儀が悪いのに相手は話し始めた。なぜなら
「亮か!?俺だ!慎二だ!大変なんだ!」
相手、慎二が相当焦っていたから。ちなみに慎二は俺と同じサッカーのチームメイトだ。
俺は怒りを忘れ慎二に焦っているわけを尋ねた。
「落ち着いて聞いてくれ」
お前が落ち着けだなんて間違っても言えない。
「ああ」
「優太の家が家事にあった」
俺はひどく驚いた。それは大変だ。早く優太に伝えないと。
「今優太が俺の家に居るけど伝えようか?」
でも俺は慎二の言葉に自分の耳を疑った。
「…何言っているんだよ。優太は…意識不明で今病院にいるんだぞ」
俺は受話器を落として後ろにゆっくりと振り返る。
冷たい汗が背中を伝う。
そして振り返った先には…