番外編
□桜と桜パパ
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桜は、けたたましい携帯の着信音で目を覚ました。
「…ぅぁ〜…マナーモードにしとけばよかったし…」
枕元に置いてあった携帯を手に取り、液晶画面にでていた名前を見て、電源を切ろうとしたところで、部屋のチャイムがなった。
「なんだかなぁ…」
高貴は、まだボディーガードの仕事中で…この部屋にいるのは桜一人だった。
だから、桜しかこの部屋にきた訪問者を迎える人がいなかった。
桜は、昨日シャワーを浴びてすぐに寝てしまっていたらしく、同室者も留守だし…と、明にもらった身体がすっぽりと入る大きいタオルで身体を拭いて、そのタオルを身体に巻いただけだった。
「ぁぁ…変装してない…つか、うるさいっつうの!」
さっきから鳴り止まない携帯の電源を切り、タオルで全身を包んだままの桜は、玄関に向かった。
(ドアを開けなければ済むハナシ。)
桜は、ドアを開けずに、声をかける。
「どなたですか?」
相手は無言。
「…帰っちゃったかな…。んじゃぁ、寝よう…」
そう考えて、くるりと方向転換をした桜は、自分の部屋に戻ろうとした。
━ドンドンドンッ!
「電話にぐらい、出てくれてもいいよね!桜!」
物凄くドアを叩く音と、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「…どちらさまですか。」
桜は、携帯の液晶画面に出ていた人物と、ドアの向こう側にいる人物が一緒で、しかも誰かはもう分かっているのに、あえて聞いた。
「…桜は、少し会わない間に、大好きなパパの声まで忘れちゃったのかい…?」
「うわあ、何しに来たの?すごい、迷惑なんだけど…」
桜は、近所迷惑になる前に…と、鍵を開けて父親を部屋に居れながら、心からうざそうに言った。
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