番外編

□明×桜A「カップル」
1ページ/7ページ



朝から永続的に続くセミの声にウンザリしながらも、それ以上に煩く鳴り響く自室の電話のコール音に苛々しながらも応答する。



「・・・月白ですが」



「あ、俺!おれー!啓ちゃんだよー!明、元気してる?てか、夏休みなにしてんの〜?」



「・・・貴様がソレを聞くか?」




「ゴメンナサイ・・・。」





そう、今は世間で言う夏休み。
私が理事長を勤めるこの学園も、生徒も教師も用事が無い者はほとんど寮から出て、夏休みを楽しんでいる。



私も、毎年この時期は短い休暇を取って桜と"夏休み"を楽しんでいるハズなのに。




「謝る前にお前はやることがあるんじゃないのかな?私はいつになったら夏休みを楽しめるんだろうね?」




「ス・・・スイマセン・・・俺が至らないばかりに・・マヂ・・許してください・・」




「うん、お前が悪いことは世界の皆が知っていることだから。誰かさんのおかげで、私は最近自分の時間が1時間しかないよ。睡眠時間も含め。」



もっと嫌味を言ってやりたい所だけれど、机の上に視線を向けるとそんな無駄口を言っている暇もない事を思い出す。


山のように積み上げられた書類の束に、SDカードが数十枚が入った箱が何箱か無造作に3台のパソコンの横に置いてある。




「お前が商談の経費と称し使い込んだ会社のお金は全て計算してそっちに送っておいたよ。」


「え・・・」



「それと、無断欠勤の分と本当の商談相手を殴り倒した分の慰謝料、その時にかかった費用等全てお前に払ってもらうからな。」




「え、だってアレは・・・アイツが、桜の事で下品な言い回しするから!」


啓が言うには商談相手の社長が桜に一度会ったことがあるらしく、その時の事を酔った勢いであることないこと話始めたらしい。

始めは我慢したらしいが、桜が金のために自分に売春紛いの話を持ちかけてきた・・・という所で、啓の我慢の限界にきてしまい、殴ってしまった。そうだ。




「気持ちは分からなくもないよ。けど、私だったらもっと違うやり方で謝罪させてやるけどね。」



私がそう言った時、今使っている電話とは別にこの社長室に備え付けられている電話に内線が入った。



「啓、用がないなら切るよ。それじゃあ。」



電話の向こう側で、何か言っていたが気にせずに内線を取る。



「はい?」



[明様、今玄関の所に桜様がいらしゃっていますが・・・お通ししてよろしいでしょうか?]



「・・・ああ、はい。」



撮影があると言って忙しそうにしてた桜が来たことに私は驚いていた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ