alive a life

□act.1
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天地乱る混沌の時代。人と妖怪とが共存を果たすまほろばの地があった。

文明と信仰の源“桃源郷”

しかし今この世界をある異変が駆けぬけている――

妖怪達の突然の狂暴化。その原因とされているのが五百年前闘神・那托太子により葬られた、私欲のままに人間を喰らったという大妖怪「牛魔王」の復活を目論む何者かによって行われている汚呪…“化学と妖術の合成”がもたらす強大な負の波動である。
この桃源郷全土に渡る異変の阻止に白羽の矢が立ったのが、玄奘三蔵法師。
三仏神の命により三蔵は供を携え西域、天竺国を目指している――のだが、



「――つまり、もう一人旅の仲間が加わるということですか」

昼時、旅の途中に立ち寄った町の飯屋にて一息ついていた一行。八戒は三蔵の話に目を丸くした。

「ああ、途中で拾っていけだとよ」

眉間に皺を寄せ、さも面倒くさそうに溜め息をつく三蔵。

「はー、このメンツにまぁた野郎が増えんのかよ。どうせならナイスバディの美女がいいよなぁ…」
「まったく悟浄は…」
「エロ河童が」

不謹慎な悟浄に呆れるしかない二人。

「なぁなぁ、そいつ強ェかな!?」

もきゅもきゅと口の中のものを咀嚼しながら期待に目を輝かせる悟空。

「これ以上足手まといはいらん」
「おい!!何で今俺を見て言った!?」
「まぁまぁ」
「強ェといいなー!!」

新しい旅の仲間に各々想いを馳せる(?)

「で、どんな方なんですか三蔵?」
「知らん」

「「「……は?」」」

思いもよらない三蔵の返答に三人揃ってぽかんとしてしまう。

「えっと…それでは此方も探しようがないのでは?」

一番最初に復活した八戒が三仏神から何も聞いていないのかと問うても三蔵は先程と変わらない応えである。

「んじゃどうすんのよ」
「この町にいるのは確からしいが、会えば分かるとしか聞いていない」

ただでさえもう一人加わることに否定的だというのに、その少なすぎる情報に三蔵の機嫌は下がる一方だ。だが上司である三仏神の命には、非常に、ひっじょーうに不服ではあるが逆らうことができないのである。


「…お待たせしました」
「あっ!!肉まんこっちこっち!!」

と、そこへ事務的で抑揚のない店員の声に悟空は喜色満面の笑みを浮かべる。既に尋常ではない料理の数々が並ぶテーブルの上にまた一品増えた。

それを横目になんでこんな愛想のない店員を雇っているんだろうかと思ってしまったりする大人組。

「ま、腹が減ってはなんとやら、ですかね」

嬉しそうに食べる悟空に八戒は苦笑する。

「がっつくなよ猿!!」
「んだとこのゴキブリ河童!!」
「やかましい黙って食え!!」

周囲の驚きの目を気にすることなくいつもの如く騒がしい悟コンビにいつもの如く三蔵のハリセンが炸裂する。

「すいませーん、お茶おかわりお願いします」

八戒はどこまでもマイペースである。


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