レヴィさん家
□兄弟喧嘩の理由
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やけに静かな夕食風景。
いつもは「しゃべってないで早く食え」とザンザスに注意されないと食べないマーモンなのに黙々と食事をしている。
いつもふざけてばかりのベルも無言。
「なんだ?なんかあったのか?」
珍しく夕食に間に合った父が困惑気味に問いかけると、マーモンの瞳に涙がまた盛り上がってきた。
「うるせぇ。余計なこと言うなクソオヤジ。」
フランに牛乳をついでやりながらスクアーロが言うと、レヴィが憤慨した。
「な…!親に向かって何て口を聞くんだ。」
「あ゛ぁ!?マーモン泣きやますのにどんだけ苦労したと思ってんだ!?ったく、余計なこと言いやがって。」
再び、静まりかえった食卓。
ふてくされたようなベルと涙をためるマーモンを見て、なるほど喧嘩したのか。と理解をした父。
気まずい沈黙が流れる食卓。
流れをかえるべく、また父が口を開いた。
「いよいよ、明日だなぁ。工作の日。」
うわああーん
堪えきれずに、マーモンが泣いた。
「ふざけんな、クソオヤジ!!空気読め、黙って食え!!」
夕食が終わると、順番に入浴タイムになり、まだ小さなマーモンとフランは普段ならベルが一緒に入っていた。
「スクー。今日ベルと入るのやだ。」
食器を洗っているスクアーロの裾をひき、すねながら言うマーモン。
「じゃあオヤジもいるし、オヤジと入れぇ。」
心なしかイラッとしているのは普段は言わないワガママを言うマーモンにではなく、なぜ自分しか皿を洗う人間がいないのか、ということだ。
すぐにマーモンは、ビールと枝豆をお供に、プロ野球を見ている父のもとへ駆けていった。
「お風呂、一緒に入って。」
「ん?ベルと入…あぁあー!打たれたかー」
末息子の上目遣いのお願いよりも、贔屓の野球チームの試合なのか、とスクアーロは肩を落とした。
再び、お風呂…と父の裾をひっぱりながら小さな声で言い出したマーモンを見て、スクアーロは食器の泡を水で流し、手の水気も切って水道を止めた。
「マーモン、一緒に入るぞ」
まだ子ども特有の柔らかな体をひょいと抱えて風呂場へ向かう。
「スクアーロと入るの?」
さっきまで泣きべそをかいていたマーモンがすこしだけはにかみながらスクアーロにしがみついてきた。
それにしても、いつもはベルと喜々として入るのに一体どうしたのか。
服を脱がしながら夕食前のケンカを思い出した。
いつもは服を脱ぐのを手伝おうとすると「自分でできるもん」と手を振り払ってじだんだをふむのに、甘えてくるあたりが、さっきのケンカで泣かされたことが尾をひいているのだろう。