レヴィさん家
□なんだかんだいって大事
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「スクアーロー!何か食ってこうぜ〜!」
「おぉ、そうだな。」
スクアーロは幼い時から地元の剣道場に通っている。
今日は他の道場との練習試合だった。一時期は兄弟全員がお世話になった道場だったが、今も続いているのはスクアーロだけだった。
中学生以下がほとんどを占めるその道場で高校生は道場主の息子とスクアーロだけ。
2人は今も仲良く、時には刺激しあい今日の大会もそれぞれ満足いく結果だった。
「何食う?」
「何でもいいぜ」
「ははっ、何でもいいが一番困るのなっ。ここにすっか!」
「結局、いつもと同じじゃねーか。」
有名なハンバーガーチェーンに入った2人だったが、店内は昼過ぎというのに混み合っていた。
人混みがあまり好きではないスクアーロだったが、友人はお構いなしに店内を進んでいく。
列に並ぶ客に手渡されるメニューのチラシをなんとなく受け取り眺める。
「スクアーロ決まった?」
「んー、まだ。武は決まったかぁ?」
「これと、これと、これかな。」
「よく食うな!食い過ぎじゃねーか?」
「スクアーロが食わなすぎじゃね?」
たわいもない話をしながら、順番が回ってきて、スクアーロは友人の次に注文した。
「こっち、こっち!…なんだよ、スクアーロだって2人前頼んでるじゃん。」
一足先に席につき、ポテトをかじりながら手をふる友人にトレイの上の物を指摘されるが仕方ない。2つ頼まなきゃいけなかった理由がスクアーロにある。
「あぁ、そっか。2人分ないとな。」
「あぁ。くだらねーケンカになるからな。」
黙々と、男子高校生が食べるには小さなハンバーガーを食べているスクアーロのトレイの上には、子ども達に人気のアニメキャラクターのオモチャが2個。
スクアーロが頼んだのは、オモチャがついてくるハンバーガーセット。
水に浮かべて使えるらしいそれは、風呂場で大活躍すること間違いなしだった。
「でもよ、ベルの分はいいの?」
「あ゛ぁ!?アイツもう中2だぜ?いらねーだろ!」
「そうかなぁ……」
スクアーロと付き合いの長い友人は苦笑いをして大きなハンバーガーにかじりついたのだった。