SS・文

□闇と光
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第二夜

道なき道を歩き続ける。
目標物なんてモノはない。
ただ、ただ歩き続ける。
頭の中はぐるぐる回っている。
時々目を凝らしてみると何かが光っている。
嬉々として近寄るが、それは単なるガラス片。
肩を落として再び歩き出す。
こんな事をどれくらいくり返したか分からない。
何分たった?何時間?何日?
数字がクルクル回っている。
気が付くと空を見ていた。
どうやら足がもつれて倒れたらしい。
何も無い空。そんな空を見ていても楽しくない。
こんな世界楽しくない。
ゴロリと横に転がる。
地面が揺れる。
私が沈む。
もういいや。
どうでもいい。
そう呟こうとした時。
炎。
歪む空間に空回りする思考。
その間に揺れる炎。
手を伸ばすとその熱い感触。
その瞬間手に火傷を残して消える炎。
幻ではなかったことを熱が教えてくれる。
まだ熱い。
この世界はまだ熱い。私も。
欲しい。炎が。
炎を得る為に私は走った。
目標物は揺れては消える。消えては現れる。
揺れる地面を倒れそうになりながらも飛びつく。
あの炎、掴める―――。
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