裏

□お・し・お・き!
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それは、四日振りに泊まった宿での事だった。
部屋は二人部屋を二つ借り、三蔵と八戒、悟空と悟浄という部屋割りになった。
ついて直ぐに、八戒は悟空を連れ、買い出しにへと向かい、一人部屋にいるのはつまらない、と悟浄は別段会話をする訳でもないのに三蔵と同じ部屋で二人の帰りを待つ事にした。
会話のない部屋では三蔵が読んでいる新聞の音がやけに大きく聞こえ、二人が煙草の煙を口内から室内へと吐き出す息の音さえも大きな溜め息の様に聞こえる。
(つまんねぇなぁ)
何をするでもなく、ただベッドの上で煙草を吹かす悟浄。その横には飲み干したジュースの缶が灰皿とかしている。
ちらっと横目で新聞に目を走らせる三蔵を見やる。
話しかけようか…いやきっと返事はないだろう。
たとえあったとしても『うるさい』だの『黙れ』で終わる。
なら話しかけずに、街にでも出ようか。
久々の街。綺麗なお姉ちゃんでもナンパして賭博でもやりに…あ〜でも金が……
などと頭の中で思考を巡らせていると、どすんっという上から何か重たいモノが腹部へと落ちる衝撃が悟浄を襲った。
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