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□【忍たま潜入記録】 任務その4…『虹色たまご』
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【潜入先:『虹色たまご』
 管理人:幻遊斎様
 主ジャンル:天女傍観夢小説】

 サイト『虹色たまご』内、黄泉の国の入り口、黄泉平坂…。
 地下へと続く薄暗い洞窟の中に、低い歌声が反響する。

長次
「…も〜もたろさん ももたろさん…♪」

仙蔵・文次郎
『…………』

仙蔵
「……長次のやつ、いつになくご機嫌だな…」

文次郎
「…あぁ…」

長次
「…家来になって、行きましょう…♪
 …ここまでが、三番…」

仙蔵・文次郎
『は?』

長次
「…続きがある…」

文次郎
「いや…どういう意味だ?」

仙蔵
「…ふむ…確かに、続きがありそうな歌だな。
 私は犬と猿と雉が御供になる所までの歌詞しか知らないが…」

文次郎
「むぅ…桃太郎の歌の続きか…考えてみれば、俺も今長次が歌った所までしか知らねぇな」

長次
「…………。(こくん)
 …本来、桃太郎の歌は六番まであるとされる…。
 …続きは次の通り…」


 そりゃ進め、そりゃ進め、一度に攻めて攻めやぶり、つぶしてしまへ、鬼ヶ島。

 おもしろい、おもしろい、のこらず鬼を攻めふせて、分捕物をえんやらや。

 万万歳、万万歳、お伴の犬や猿雉は、勇んで車をえんやらや。


仙蔵
「……酷い歌詞だな」

文次郎
「あぁ、これはただの強盗だろ。
 どっちが鬼だか解りゃしねぇ」

長次
「…かの福沢諭吉も、文次郎と同じように桃太郎の話を評したという…」

仙蔵
「そう言えば、今回の派遣先『虹色たまご』の『鬼ヶ島にて鳥が啼く』の世界は、桃太郎伝説がベースにあったな」

長次
「…………。(こくん)
 …作者の幻遊斎さんが先の桃太郎の歌に対して疑問を抱いた所から、その物語は始まったのだと聞く…」

仙蔵
「平成の世では様々な事象を多角的角度から見る動きが高まっているからな。
 私としても『鬼ヶ島にて〜』の世界は興味深い。
 桃太郎という童話だけでなく、古事記や日本書紀の世界観も含まれていると思われる」

長次
「…………」(こくこく)

文次郎
「…………」

仙蔵
「どうした?
 文次郎」

文次郎
「いや…『鬼ヶ島にて〜』が古事記や桃太郎の話を元に構成されてるのは俺も承知の上だが、その渦中の人物『天海桃太郎』という男は先の歌にある様に物欲で動くような人物だとは、俺には見えなかった。
 私利私欲より強い使命感の様なものを感じたが…」

長次
「…………。(こくん)
 …そこが重要…『天海桃太郎』なる人物が、古事記の世界と桃太郎伝説を結びつけている…」

文次郎
「?
 どういう意味だ?」

長次
「…ここ、黄泉平坂…」

仙蔵
「あぁ、黄泉の国と芦原中津国(日本神話における地上世界)を繋ぐ場所だな。
 古事記において重大な事件があった場所だ…文次郎は知っているか?」

文次郎
「お前、俺を馬鹿にしてるだろ。
 俺だってイザナギの黄泉下りの話くらいは知っている。
 確か…イザナギが先に死んだ伴侶のイザナミを呼び戻すために黄泉の国に行くが、約束を破って腐乱したその姿を見ちまって恐れおののいて逃げ出すって話だったな。
 で、怒ったイザナミが黄泉醜女(ヨモツシコメ…黄泉の国の鬼女)や黄泉軍(ヨモツイクサ…黄泉の国の鬼)を追手として差し向ける。
 イザナギが身に着けていた飾りを投げると、そこから食い物が出てきて、鬼どもがそれに気を取られている内に逃げる…という展開だったと思う。
 詳しくは知らねぇが、大体はこんな流れだろ?」

長次
「…………。(こくん)
 …イザナギ神がイザナミ神の差し向けた追手から逃げるために投げた物は三つある…。
 …葛、櫛…そして桃…」

文次郎
「!?」

仙蔵
「『落乱』原作でも私が述べている様に、古来から桃は神聖な木と言われ邪気を払うとされていた。
 イザナギ神の話でも、追いかけてくる鬼を桃の実を投げつける事で追い払ったとされる」

長次
「…桃の木…」

【黄泉平坂の麓に桃の木が生えている】

文次郎
「…確かに、桃の木が生えてるな」

長次
「…桃の実に救われたイザナギ神はその桃に感謝し、こう言ったのだと聞く…」


― 私を助けたように、地上に暮らす人々が苦しむ時には助けてほしい。



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