*サクラ花火*
□始まりの終わり
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(いや違う、たぶん。)
『では…ちなみに今は何年ですか…?』
「文久3年ですけど…。」
『文久って…。』
(江戸時代…!?)
さほど歴史の授業に興味がなかった桜が必死に学生時代の知識を絞り出していると、
総助は困惑した様子で桜に尋ねた。
「あの…ま…まさか記憶喪失ですか?!!一の投げた三味線の打ち所が悪かったりして!!!??」
『えっ…!?いや…でも…違うと思うんですが…』
「では…今の将軍の名は?」
『え…っと…徳川…家康?』
「違います。」
『豊臣…』
「違います。」
『……。』
自分の歴史知識の無さに苦笑いする桜をよそに、
総助の顔はみるみるうちに青ざめていった。
....................
あれから慌てふためいた総助にとにかく休むように促された桜は、部屋で一人横になっていた。
『どうなってるんだろう…。』
状況から判断して"江戸時代にタイムスリップした"と考えるべきなんだろうか。
それともここを"あの世"と考えるべきなんだろうか…
(どっちも行った事無いから分かんないよ…!!)
考えても考えても分からない桜はガシガシと自分の頭をかくと、布団の中に顔をうずめた。
桜はうずくまった布団の中で自分の手をじっと見つめると、血の通っているままのその手をギュッと握り締めた。
ここがどこかは分からないけれども、なぜだか死んだはずの自分がまだ自分として存在している。
それは桜の思っていた以上に苦しくて、
思った以上に嬉しかった…。
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