*サクラ花火*

□長州へ
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「長州へ帰れって…?!」






楢崎からの突然の帰郷命令に二人は驚いた。





「やなこった☆」



「一、お前に断る権利はない!!お前がめちゃくちゃやるから藩主がわざわざこんな命を出さなくちゃいけなくなったんだぞ!!」



「なんで俺まで巻き添えなんですか。俺はまだやる事もあるし、長州にずっとは困ります。」


「俺だってやだね。」






命令をあっさり無視されあきれる楢崎だったが、楢崎もある程度予想はしていた。






「まあそう言うだろうと思っていたがな。ならばその代わりに二人にやってもらう事がある。」



「なんですか?」






尋ねる二人に楢崎は深く息をついて言った。







「諸外国との和解だ。」






「それって…。」






一も総助もその事について知らない訳ではなかった。


数ヵ月前、強い攘夷思想の長州藩士達が外国船を砲撃し、怒った諸外国は長州藩に攻撃を始めた。

圧倒的な戦力差に、あっさりと負けを認めた長州藩主だったが、諸外国は賠償に長州の土地を渡せと言ってきたのだった。







「って…ええ!??その賠償請求をつっぱねてこいって言うんですか?!!」



「自業自得じゃねーか。砲撃した藩士達にさせろよ。」


「そんな事したら相手を逆撫でするだけだろうが!!相手は藩主の毛利様を出せと言ってきている。だがあの方はお優しい。このままでは長州が植民地化されかねない。」







「…で、口の上手い一にそれをうやむやにさせようって魂胆なんですね。」








あきれたように言う総助を見て楢崎はニコッと笑った。







「察しがいいな、総助!!」



「あのなぁ…口が上手いって日本語だからだろ!!外国人なんぞ丸め込めるか!!」

「では長州からの出禁命令を受けてもらう。」




「う…。」



「それもまた俺も巻き添えですか…?」




「無論。こいつ一人で敵陣に差し向けては何をやらかすやら。お前も同伴しろ。」








「何で俺いっつも一とセットにされるかなぁ…」















そう言って肩を落とす二人だったが今回ばかりは断る事もできず、

一と総助はこの和解を成功させるしかなかった。







「まあ毛利のおっさんにも借りがあるし、植民地化は困るしなぁ。」



「一!!!藩主に向かっておっさんとは何事だっ!!!!」



「ああもう…先が思いやられる…。」







喧嘩する楢崎と一を横目に一人先行きの不安を感じる総助であった…。




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