*サクラ花火*

□兄
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ー…ザザー…







『ここが…長崎…!!』





数日間の船旅を終え、三人は長崎へと辿り着いた。

この時代の長崎は、外国との貿易の拠点となっており外国人も多く、異国情緒溢れる町だった。




船を降りた一逹は、ひとまず町を散策することにした。









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『わあ!!これ可愛いっ!!』



「それはビードロって言う長崎の名物です。息を吹くと音がしますよ。」





―ペコッ ポコッ






『本当だ!!面白いです♪♪』


桜がビードロに息を吹き入れて遊んでいると、一が手を出した。



「買ってやる。かせ。」



『えっ!!そ…そんないいですよ!!』



一がそれを桜の手から取ってお金を払おうとすると横から総助が一の手を止めた。



「いや、ここは俺が買うからいいよ、一は。」



『そ…総助さんまで…!!いいですよ!!本当に悪いんで…』



桜が二人に遠慮している横で、一と総助はビードロを取り合っていた。





(てめぇ横から出てきて邪魔するたぁいい度胸じゃねーか。黙ってろマリモ!!)


(そっちが邪魔なんだろ。だいたい俺が話してたのに横から入ってきたのは一だろ。この三味線バカ!!)





『…二人とも…??あ…あの自分で買いますから…』







「ほらよ。」








「はい。」










おろおろする桜の前に、2本の色違いのビードロが差し出された。



「お前のはセンスがねぇな。」

「一には言われたくないね。」




予想外の二人からのプレゼントに、桜は顔を赤らめながら、とても喜んだ。



『本当に…本当にありがとうございます!!高砂さん!!総助さん!!大切にしますね…!!』




二本のビードロを大事そうに持ちながら喜ぶ桜を見て、張り合っていた一と総助も思わず笑顔になっていた。








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