サクラ花火短編集(大)
□【其ノ二】ご褒美
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ー…ガヤガヤ
『相変わらず京の町は人が多いですよね〜…。』
「まあここに店が集まっちまってるから賑やかにもなるわな。」
そう言うと一は楽しそうにニッと笑った。
いつもは荷物持ちにと総助が買い出しに着いて行く事が多かったのだが、
回診で忙しい総助に代わり、今日は一が桜と町に来ていた。
が…―。
「桜!!これ旨そうだぞ。」
「桜!!!これ見てみ、すげーぞ!!」
「桜!!!!ちょ、ちょ来い来い!!!」
(高砂さん〜!!!買い物が全く進みません〜…!!!!!!)
元来激しくワガママ…もといマイペースな一が大人しくしているはずもなく、
あっちにフラフラこっちにフラフラ桜を連れ回していた。
(でも……。)
「ほら、これ似合うじゃねぇか。」
そう言うと一は桜の頭に簪を刺して笑った。
(そんな顔されると…何も言えないなぁ…。)
桜は顔を赤くしながら一を見上げた。
最近は戦が頻発し、京の町も一自身も緊張状態が続いていた。
そんな一にとってこの時間は束の間の休息であった。
『今日くらいは…のんびりして下さいね?』
「何だよ急に?」
『いえ…高砂さん最近いつも大変そうなので心配で…。』
心配そうに桜が言うと、一は桜の頭にポンと手を置いて笑った。
「じゃあお言葉に甘えてそこの宿で"のんびり"しようか〜桜!!」
『ええっ!?ちょ…高砂さん…そ…そういう意味じゃ…!!』
「ん?どういう意味だよ、言ってみ?」
![](http://id54.fm-p.jp/data/369/ruru04251117/pri/435.jpg)
『〜!!!!!!!!』
![](http://id54.fm-p.jp/data/369/ruru04251117/pri/436.jpg)
「あっはははは!!顔、顔!!」
そう言うと一は真っ赤になって慌てる桜のほっぺたをムニッとつまみ、
ケタケタと笑いながら次の店へと歩いて行った。
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