*サクラ花火短編集(小)*
□【其ノ七】金と悪運 後編
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「刀なんて小娘の持つものではないぞ…そこを通してもらおうか。」
「……。」
(この人数…多少分が悪いが仕方ない…。)
「娘……どかないなら…首と胴を切り離してやるまでだ。」
お互い間合いをつめながら刀を構え、あたりに張り詰めた空気が流れる。
その瞬間だった
―…ガランガランガラン!!!ガンッ……
「何奴だ!!」
「あ、やべ。」
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そう言って、崩れた竹垣の後ろから現れたのは神太だった。
「これはこれは…宗谷神太ではないか…早く仕事を終わらせてくれないか?わざわざ我らが加勢に来てやったと言うのに…。」
「"加勢"ねぇ…。」
状況をのみ込めない彼岸をよそに、神太は淡々と喋り始めた。
「あの異人の娘…異人狩りの生き残りなんじゃねぇのか…?」
「……!!」
「異人狩り…?」
神太の言葉に男達の表情は一気にこわばった。
「やっぱりな…少し前に長府で異人狩りがあったって噂を聞いてな…だがその話は奉行所も藩のお偉いさんも誰も知らなくて、俺もデマだと思ってたんだよ。」
「……。」
「幕府が外国と結び付きを強める中、異人狩りなんぞが露呈したら長府藩は立場を失うもんなぁ…。」
今にも斬りかからんとする男達を前に神太は続けた。
「こっからは俺の予想だが…異人狩りをした若い志士達を抑えきれなかった家老が、事実を揉み消す為に殺しそびれた娘を殺そうと後を追った。
でも中々捕まらない事にしびれを切らした家老は隣の藩の情報屋の俺に頼んだ…ってとこかね。」
「まるで見ていたような口ぶりだな…流石だよ…宗谷。」
男達の言葉に神太はニッと笑った。
「くだらん嘘で利用した挙げ句、異人ごと俺を殺すつもりで俺の後を追ってたんだろう。ひでえよなぁー。」
「情報漏洩の因子は全て断ちたくてね…だがここまで居場所を突き止めてくれた事は感謝する。後はもう用済みだ、死ね。」
男達はそう言うと、刀を彼岸と神太に構えた。
「おいクソ男…何勝手に人を巻き込んでんだ、殺すぞ。」
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「居合わせたもんは仕方ねぇだろ!それにな…聞いて驚け、俺は"非"戦闘員だ。」
「・・・はあああああああ?」
「うん、いいリアクションだ。剣術だったら俺はそこらの子供にも勝てる気がしねぇ!!」
「じ…自慢げに何言ってんだ貴様はーー!!!馬鹿か?馬鹿なのか??」
切れかかる彼岸に、神太は男達の後方を指差してニッと笑った。
「大丈夫だって☆何の為に俺が長州一の暴君に助けを求めたと思ってんの。」
「は…?」
―…ザンッ!!!!!…ドサッ…
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「誰が暴君だ、このどアホ。」
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「いい加減に剣術の稽古ぐらいしなよ、神太。」
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「なっ…貴様ら…!!!!」
「才能がないもんは稽古なんてやったってしょうがねぇんだよ。」
神太はそう言うと、二人を見てケラケラ笑った。
「…もう勝ち目はないです、諦めてください。」
「んな甘いこと言ってねぇで斬っちまえ、総助。」
男が慌てて背後を確認すると、仲間のほとんどが地に伏していた。
「く…くっそぉぉぉ!!!!!!」
―………ザンッ!!!!!
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