*サクラ花火短編集(小)*
□【其ノ七】金と悪運 後編
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「で、どうすんだ?」
男達を追い払った一達は、リンを連れて彼岸の寺に戻っていた。
「リンを元の国に戻してやることは出来ないのか?」
「となると領事館に連れてくしかないかな…どう?神太。」
総助の問いかけに、神太はいじけたように答えた。
「俺はもういいよ。どうせもう依頼主に連れてっても金にはならねぇようだし。」
「貴様…やっぱりリンを売るつもりだったんだな!!女を売って金を得るなど…最低だな!!」
「はん!!俺はなぁ…金になるなら男だって売るわ!!」
「なんの自慢だ!!消えろクズ男!!!!!!!」
言い争う神太と彼岸をよそに、総助がリンに英語で話しかけた。
「あなたのいた国にあなたが戻れるよう協力します。」
「……。」
「俺達を信じて。」
終始怯えた様子だったリンが、その総助の言葉と笑顔に少し安心したように頷いた。
「しょうがねえなあ…じゃあ俺が下関の英国領事館まで手引きしてやる。」
「貴様…今度は何をたくらんでる…。」
「人聞き悪いこと言うな!!一応罪滅ぼしのつもりだ!!だいたいこいつらのつたない英語で話をうまく丸め込めるワケねーだろ。」
「まあそれは正しいよ。彼岸さん、こいつに任せてやってもらえませんか…?」
総助の笑顔に彼岸はバツが悪そうに俯いた。
「先生がそういうなら…信じよう…。」
彼岸がそう言って笑うと、総助もニコッと笑った。
「斉藤先生ー!!」
「?」
「いらっしゃっていたんですね!!なんだか最近具合が悪くって…見ていただけます??」
「私も私も!!」
「何よあんたさっきまで元気そのものだったでしょ!!」
「お…お前ら何やって…」
「彼岸、抜け駆けなんてずるいわよ。斉藤先生が来てるなら早く言ってよ!!先生、どうぞ入って下さい!!」
「え…あの…回診ならまた今度…」
「いいから〜ご飯でもご馳走しますので!!」
「しょうがないな…桜、リン!!お前たちも来い!!リンの送別会するぞ!!」
「わあ!!行きましょうリンさん!!」
そうして寺の女の子たちに囲まれた総助と彼岸たちは寺へと連れ込まれていった。
「…何だこの扱いの違いは。」
「神太、分かるぞーその気持ち。」
「一…お前いつからモテないキャラになってんの?」
「うるせー。ここの女が見る目ねえんだよ。」
「本命にも空回りしてるようじゃねえか、ププッ。」
「……神太てめえ…海に沈めてやる!!」
「お!!ツリ目、それなら手伝うぞ。」
「ぎいゃああああーーーー!!!!!」
【其ノ七】金と悪運 後編 -END-