サクラ花火短編集(大)

□【其ノ七】嵐の前ぶれ
3ページ/5ページ






「……まあもうこんな昔の話は止め止め!!歳を取ると昔話ばかりでいかんのう!!」




そう言うと、おじいさんは持っていたお酒をぐいっと飲み干した。








「桜さーん!!絡まれてなーい?大丈夫?」


『侑さん!!』










侑はニコッと笑うと、桜の隣に腰を下ろした。




『侑さん…ものすごくお酒飲んでます?』


「えー?そんなに飲んでませんよー???」




(語尾が…これは酔ってる。)




「侑と桜ちゃんは仲がええのう、美男美女でお似合いじゃ!!」




「ヘヘ〜そうでしょ〜?」



「でも親瑛も桜ちゃんのこと気に入っとるみたいやけど、実際のとこどうなっとるんじゃ?」



「気になるなぁ!!桜ちゃんはどっちが好きなんや!?」






『え…あ…いや…その…。』



「もー桜さん困ってるでしょ〜やめてくださいよー。」



「いや、侑もこの際はっきり聞いといた方がええって!!どうなんじゃ〜??」


「そうじゃ、言ってまえ言ってまえ♪」





『えー…と…はは。』





「ちょっと、おいちゃん達悪ふざけもいい加減にするッスよ〜!!桜さん困ってるじゃないッスか〜…」




俊輔が困っている桜を見かねて助け舟を出した瞬間、

侑は持っている缶を勢いよく振り下ろした。





―…ガシャン!!!!




「…ー!?」










「…やめて下さい。」








突然声を荒げた侑に、周囲の者は皆驚き口をつぐんだ。





『侑…さん?』









「そんな事…聞きたくありません。」
















侑は小さな声でそう呟くと、持っていたビールの缶を一気に飲み干しいつもの笑顔でニコッと笑った。









「………あれ?今…俺何か言いました?なんか酔いが回っちゃったみたいです〜。」




「ああもうお前一気に飲み過ぎなんじゃよ〜!!びっくりしたわ〜!!」





「あはは!!すいませ〜ん!!あ、そう言えばじいちゃんこの間のお祭りの話なんだけどさ〜…」




「ん?ああ!!あれはのう…」







―…ガヤガヤ…





(…侑さん…?)









「…。」





.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ