*サクラ花火短編集(小)*

□【其ノ八】大切な日々
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『「…やっ…たーあ!!!」』







「ハァ…ハァ…あああもう着物邪魔くせぇ!!」




嬉しそうな桜と侑を後目に息をあげて親瑛が倒れこんだ。




「俺焼肉食いたいな、親瑛♪」


『私、紫香園の焼肉がいいです〜♪』









「あーはいはいはい。くっそー…洋服だったら絶対負けてなかったかんなー…。」





悔しがる親瑛の隣に、侑と桜も寝ころんだ。





『でもやっぱり昔みたいには体動かないですね〜。』



「お前がそうなら俺らどうなるんだよ。もう次30だぞ。」




「おっさんだね、親瑛。」


「てめえも同じ歳だろうが!!」




二人のやり取りを見て笑っていた桜が、思いついたように言った。







『そうだ、三人で写真撮りましょう!!』


「写真〜?お前好きだな〜写真撮るの…。」



『いいじゃないですか!!ほら、早く寄って寄って!!』




そう言うと、桜はポケットから取り出したカメラでシャッターを切った。





ー…パシャ







『……今度はすぐに撮り終わりましたね。』






桜の言葉に親瑛と侑も笑った。






『これで大切な写真が二枚に増えました!!これからも沢山増やしたいので二人とも…今度は長生きしてくださいね…?』









「桜…。」

「桜さん…。」




『今年の桜花火も三人で一緒に見ましょうね!!』




二人は笑って頷くと、桜の頭をポンポンと撫でた。







「…30代は初めてだから楽しみだなぁ…。」



「変な台詞だな、まぁ分からんでもないが。」



「あれ?桜さん…寝てない?」




侑が起き上がると、隣で寝転んでいた桜はカメラを大事そうに抱えたまま、スヤスヤと寝息をたてていた。




「幸せそーな顔してまぁ…無防備っつーかなんつーか…襲っていいって事か?」


「手出したら"墓地で住職が婦女暴行"ってたれこんでやる。」



「…それはえげつねーな。」




そう言うと、侑と親瑛は桜の隣にまた横になった。



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