*サクラ花火短編集(小)*
□【其ノ八】大切な日々
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『「…やっ…たーあ!!!」』
「ハァ…ハァ…あああもう着物邪魔くせぇ!!」
嬉しそうな桜と侑を後目に息をあげて親瑛が倒れこんだ。
「俺焼肉食いたいな、親瑛♪」
『私、紫香園の焼肉がいいです〜♪』
![](http://id42.fm-p.jp/data/219/rrrrruyo/pri/335.jpg)
「あーはいはいはい。くっそー…洋服だったら絶対負けてなかったかんなー…。」
悔しがる親瑛の隣に、侑と桜も寝ころんだ。
『でもやっぱり昔みたいには体動かないですね〜。』
「お前がそうなら俺らどうなるんだよ。もう次30だぞ。」
「おっさんだね、親瑛。」
「てめえも同じ歳だろうが!!」
二人のやり取りを見て笑っていた桜が、思いついたように言った。
『そうだ、三人で写真撮りましょう!!』
「写真〜?お前好きだな〜写真撮るの…。」
『いいじゃないですか!!ほら、早く寄って寄って!!』
そう言うと、桜はポケットから取り出したカメラでシャッターを切った。
ー…パシャ
『……今度はすぐに撮り終わりましたね。』
桜の言葉に親瑛と侑も笑った。
『これで大切な写真が二枚に増えました!!これからも沢山増やしたいので二人とも…今度は長生きしてくださいね…?』
![](http://id42.fm-p.jp/data/219/rrrrruyo/pri/336.jpg)
「桜…。」
「桜さん…。」
『今年の桜花火も三人で一緒に見ましょうね!!』
二人は笑って頷くと、桜の頭をポンポンと撫でた。
「…30代は初めてだから楽しみだなぁ…。」
「変な台詞だな、まぁ分からんでもないが。」
「あれ?桜さん…寝てない?」
侑が起き上がると、隣で寝転んでいた桜はカメラを大事そうに抱えたまま、スヤスヤと寝息をたてていた。
「幸せそーな顔してまぁ…無防備っつーかなんつーか…襲っていいって事か?」
「手出したら"墓地で住職が婦女暴行"ってたれこんでやる。」
「…それはえげつねーな。」
そう言うと、侑と親瑛は桜の隣にまた横になった。
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