*サクラ花火*

□この時代
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......................





―…チュンチュン






『朝…。』





自分のいる状況も、昨日の出来事も飲み込めないまま朝を迎えた桜は、重い体を起き上がらせながら目をこすった。






―…ガタッ




「おはようございます、桜さん。」


『あ、才原さん…おはようございます!!』




「総助でいいですよ。それよりも具合…記憶の方は…。」


『えと…記憶はありますけど…分からないことは…分からないです…。でも本当に気にしないで下さい!!』





「帰る家も分からなくさせてしまって、気にするなと言うのは無理な話でしょう。」





そう言うと総助は少し申し訳なさそうにニコッと笑い、懐から小さな小瓶を取り出した。






「それで考えた結果…俺の知識を総動員して、脳を活性化させる薬を作ってみました!!ぜひ、これを飲んでみて下さい!!」



『……。』





総助が差し出したそれは、なにも知らない桜でさえ怪しむような不思議な色をした液体だった。

キラキラと目を輝かせる総助とは対照的に、桜はしどろもどろと口ごもった。





(そ…そもそも多分記憶喪失じゃないしなぁ…。)





『ち…ちなみにこれは中身は一体…?』



「はい!!××のウロコと××の皮をすりつぶしたものに、××と××の脱け殻を加え…」



『・・・!!!!!』





生き生きと喋る総助をよそに、そこまで聞いただけで桜はすでに気分が悪くなっていた。




(これを飲むくらいなら、たとえ記憶無くしてても…戻らなくていい!!!)





しかし笑顔の総助を前に断る勇気も無く、桜が諦めて薬を受け取ろうとした時だった。




―…ポイッ



「お前の薬は飲めたためしがねーよ。罰ゲームだろ、コレ。」





「あああああ!!一!!何すんの!!」




(た…助かった……。)





そう言って、通りかかった寝起きの一が総助の小瓶を放り投げた。

小瓶は庭の庭木の間へと姿を消し、桜は秘かにホッと胸をなでおろしたのだった。






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