*サクラ花火*

□命の重さ(後編)
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「・・・?」


「助太刀致すぞ。」











流石に自分でも死んだかと思った一が恐る恐る目を開けると、

目の前には見覚えのない男がたった一人で兵の刀を受け止めていた。






「…誰だか知らねぇが助かったよ。」

「礼には及ばぬ、早く立て直せ。」


「おうよ。」





そう言って一は肩の矢を強引に抜くと、男の隣に立ち上がり刀を構えた。






「お前のやってる事はむちゃくちゃだが動機は分かる。

命の重さは同じという言葉、胸に響いたぞ。故に医者を連れてくるまで助太刀致す。」




「そうか。そりゃ助かる!!」

(本当はその台詞、涛次郎が言ったんだがな。)





一はそう言ってニッと笑うと、男と目で合図をしながら間合いをとった。





「お前、名は何と言う。」


「高砂一。お前は?」



「長門峰治(ナガトミネジ)だ。お前は連れと医者を呼びに行け。ここは任されよう。」



「おう、ありがとな!!長門峰治!!」





そう言って一がその場から離れようとすると、後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。






「一!!!!」



「…総助!!涛次郎!!!」





一が後ろを振り返ると、そこには城の中から抜け出してきたと思われる総助の姿と、

兵の追撃を何とか必死に振り切ってきた涛次郎の姿だった。






「こんな騒ぎ起こすの一ぐらいだと思ったんだよ。」


「おお!!よく出てこれたな!!」




「…二人がここまで入ってくるよりは遥かに楽だったと思うよ。」


「まっことそうじゃ!!ほら!!馬ももう一騎確保してきたきに!!早いとこ退散するぜよ!!」




「お前ら先に行け!!俺はもう一仕事してから行く!!」


「…??分かったき!!すぐ追いつくんじゃぞ!?」


「ああ。」







そう言うと涛次郎は総助を乗せて馬を走らせ、城を後にした。

一はそれを見送ると、くるりと反対方向に向き馬を走らせたのだった。



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