*サクラ花火*

□長州へ
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...................





―ドンドンッ!!





「一!!!一はおるか!!早く戸を開けろ!!」




『あ、はい!!今開けま…』


ー…バンッッ!!!!!!!




「い〜ちいいいいい…」








突然の来客に桜が戸を開けると、やって来た男は桜を押しのけ怒鳴りながら一の元に直行した。





『なっ…!?』



「一!!!!!!貴様ふざけるな!!!軍艦を勝手に藩の金で買いおって!!!!結局その代金誰が支払ってると思ってる!!!聞いてるのかーーーーー!!!!!!!!」






あまりの勢いに桜が驚いていると、耳をふさいで縁側で寝ていた一が起き上がった。






「うるさいですよ楢崎さん。」



「第一声がそれかぁぁ!!!!?一!!だいたい貴様と言う奴は…!!」






楢崎が、もの凄い剣幕で一に説教をしていると、総助が通りかかった。





「あ、楢崎さん!!お久しぶりです!!」



「総助!!久しいな…ってお前がいるならなぜこいつを見張っておかない!?こいつは勝手に軍艦をだなぁ…」


「そんなの無理ですよ。一の行動監視なんてしてたら命がいくつあっても足りないですもん。」



「お前らは…もういい!!今日はそんな事を言いにわざわざ京に来たのではない!!一、総助、話がある、部屋に通せ。」





一と総助が諦めて部屋に入ると、楢崎は桜を見て、二人に尋ねた。






「あの女は何者だ。」



「色々と一がやらかしまして、住み込みでここで働いてもらっている子です。」



「お前、名は何と言う。」





ギロリと睨みながら威圧感を発する楢崎に突然尋ねられ、桜は弾かれたように慌てて答えた。





『えっと…藤堂桜と申します…!!』


「藤堂…?そのような名前、新撰組にいなかったか…?おぬし幕府側の間者ではあるまいな!?」



『な…!!ち…違います!!』





楢崎が桜を怪しんでいると、一が間に割って入った。





「俺のなんで、あんまとやかく言わんでやって下さいよ。機嫌損ねて出て行かれちゃ困るんで。」



「お前本っ当に変わらんな!!女にうつつを抜かしている場合か!!」





すると次の瞬間、一の腕におさまってあたふたしている桜を総助が引き寄せた。





「一はともかくこの子の事は大丈夫です。俺が保証します。」




「総助がそう言うならいいが…」


「……なんか腹立つな。」







ぶつぶつ言いながら一は楢崎に連れられ部屋に入っていった。







『あ…あの…総助さん?』





桜の腕をつかんだままだったことに気づいた総助は顔を赤くして手を離した。





「あっ…す…すみません!!」

『あ…いえ…!!』








「…桜さん、楢崎さんの事…気にしないでくださいね?」


『え?あ、全然大丈夫ですよ!!見知らぬ人間がいたんじゃ怪しむのも当たり前ですよ。』





心配そうに言う総助に桜は明るく言った。





「彼は楢崎薫さんって言って同郷の藩士。ちょっと神経質で疑り深いけどいい人なんだ。」





『そうなんですね…。』



「総助!!早く来い!!」







部屋からの楢崎の呼び声に、総助は苦笑いしながら部屋に入っていった。


そして残された桜は、お茶を出す準備をしに台所へと向かったのだった。



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