*サクラ花火*

□交錯する想い
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ー…ザパーン…




『はあ…気持ち悪い…。』





あれから一月以上が過ぎ、

海の景色にも飽き飽きしていた頃、桜は船酔いに苦しんでいた。






『まさかこんなに揺れか激しいなんて思わなかった…』





現代の船と違い、流れに身を任せている当時の船は上下左右に容赦なく揺れ続けていた。

止めどなく襲い来る頭痛と吐き気に襲われていた桜は、がっくりと壁にもたれかかっていた。





(もう…ダメ…外に出よう…。)





よろよろと外の空気を吸おうと甲板に出ると、そこにはすでに先客がいた。






「………よぉ。」


『た…高砂さん…どうも…。』





相変わらず船に酔い続けている一は、桜以上に参ってしまっているようだった。






「さんざん人の事笑ってた割にはざまあねぇな…。へっ!!ざまあみろ!!」



『うっ…だって(この時代の)船なんて乗った事なかったんですもん…。』


「総助の酔い止め飲んでみろよ。すげー色してっから。」




『高砂さん飲んだんですか?』

「飲むかあんなもん。」




『はは…』






甲板で夜の海の空気を吸いながら、二人は他愛もない会話を続けた。







「あー…気持ち悪ぃ…桜、お前そこ座れ。」


『え?ここですか?』





言われた通り桜が甲板に座ると、一が桜の膝を枕にして横になった。






『え…ちょっ…高砂さん…!?』


「気持ち悪ぃって言ってんだろー。いたわれ。」




『高砂さん…私も気持ち悪いんですが…。』


「……。」






(無視を決め込んでる…。)







本当の事を言うと、緊張のあまり心臓がドキドキいって、気持ちが悪いのなんて吹っ飛んでしまっていた桜であった。








「お前さ、俺の事は高砂さんて言うよな。総助の事は名前で呼ぶのに。」




突然、黙って寝ていた一が小さな声で桜に言った。

だが波の音でその大半が聞き取れていなかった桜は、不思議そうに一に尋ねた。





『え…?今何か言いましたか?波の音で聞こえな…』





そこまで言うと、一は桜の言葉を遮るように桜のほっぺたを引っ張った。






「何にも言ってねーよ。」

『???な…い…痛ぃれすょ高砂さ…』



「………。」





―…グイッ!!!







『きゃっ…!!』






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